「いつも仕事が終わったらすぐに帰宅していたんですが、その日“ただいま”って帰ったら家がシーンとしていたんです。どこか遊びに行ったのかなと思ったんですが、夕飯時なのでそんなことはないだろうと。そしてダイニングキッチンに行ったら、長男は涙を流したまま、下の子は鼻水を垂らしたまま、お手伝いさんに抱きかかえられて3人で壁にもたれて眠っていたんです。ぐずった2人をあやしているうちにくたびれ果てたんでしょうね。そのときは、お手伝いさんへの感謝と、自分がふがいなく申し訳ないという思いがこみ上げて、号泣しました」
そのときの思いを、今でも忘れないと話す。
「30年くらい前の話ですけど、私は彼女に本当に助けられたと思います。子育ては仕事を持っていても、いなくても大変なのはわかります。だから家族であったり、近所の人であったり、巻き込める人は巻き込んで子育てをしましょうとよく当時から言っていました。特に今は子どもたちの数も減っていますよね。公的な場所でもいいですし、地域ぐるみでもいい。みんなで見守る環境が増えれば、子どもたちも元気でたくましく育ってくれるんじゃないかと思います」
嗚呼、懐かしき春の思い出
「思い浮かんだのはタンポポのサラダ。よく昔、仲よしのご家族と多摩川の土手に行ってタンポポをつみ、きれいに洗ってサラダにしていました。ちょっとほろ苦く、子どもたちも食べていましたが、すごく好きにはならなかったと思います(笑)。2人とも私のことを母親というより、遊び相手と思ってましたから、よくそうやって散歩に出かけていたのが、春の憩いの時間だったなって思いますね」
プレミアムドラマ『70才、初めて産みますセブンティウイザン。』
4月5日スタート NHK BSプレミアム 日曜夜10時〜
4月5日スタート NHK BSプレミアム 日曜夜10時〜