ドアはひじや足で閉める

 勝田教授の場合、電車に乗るときはこんな点に気を配っている。

「まず、なるべく乗客の少ない列車に乗るようにします。すると急行や快速ではなく普通列車になる。だから10分早く自宅を出ます。さらに極力すいている車両を選んでいます」

 感染症専門医で東京・品川区の『KARADA内科クリニック』の佐藤昭裕院長はこう付け加える。

「手すりやつり革につかまらないようにするのはいいと思いますが、座るか座らないかはどっちでもかまわない。それよりも、隣の人と距離をとることが大事です」

 ウイルスが付着するのは電車内にかぎらない。買い出し先のスーパーや大型商業施設、小規模の商店でも“もらう”おそれはある。

 ある主婦は、こうした施設や自宅マンションの玄関などに出入りするとき、

「ドアは手で開けず、できるかぎりひじや足で開け閉めするようにしている」

 という。

 行儀が悪いふうに見えるかもしれないが、そんなに難しいことではないし、感染するよりはマシと考えてもよさそうだ。前出の佐藤院長も「ひじで押せるドアはひじで押していますね」と打ち明ける。

 東北大学病院・感染管理室の徳田浩一室長は、

「みんながさわっていそうなところには触れないようにしています」

 としたうえで、こう続ける。

「もし触ってしまったときは、なるべく早く手を洗うようにします。近くに洗面所などがない場合、手を洗えるまでは顔などに触れません」

 徳田室長は、石けんやハンドソープを使って15~20秒程度かけて丁寧に洗う。今回取材した医師はみな「手洗いは大事」と口をそろえる。

 さらに徳田室長の場合、昼休みはまず飲食店には行かず、買ってきた弁当などですませている。

「食べるときは1人。職場で休憩時間をずらし、大勢集まってしまったときは散ります。食べ終えたらさっさと部屋から出て、離れた場所で休憩するようにしています」

 食材に気を遣う主婦は多かったが、食卓を囲むスタイルについて「個別に食べている」とする主婦は少数だった。自宅での食事ぐらいはにぎやかにしたいのだろうが、注意が必要だ。