いつまでもマスクが買えないのはなぜ?
■レ・フン・クンさん(ベトナム)
「いちばん驚いたのはマスクや消毒液が足りない、買えないってことですね。特にマスクや医療用の防護服が足りないなんて信じられませんでした」と戸惑いを隠せない。
感染防止を徹底する国民性には感心したが、かたや外出を続ける人たちのニュースには不安を感じている。
「感染を減らすためには国民ひとりひとりが自覚し外出しないなど、協力しないといけません。ですから政府はもっと厳しく言ってもいい。これは国民の命を守ることです。
ただ、娘もまだ電車で通勤しています。生活が苦しくなるのはわかりますが、命あっての仕事、非常に心配です」
心配は感染だけではない。
「私たち外国人は政府からの補償や給付を受けられるのでしょうか。何十年も日本に住んで給料の中から税金もきちんと払ってきました。もし、受け取れなかったらと考えるととても不安です」
鳥インフルエンザやSARSを経験しているベトナムでは徹底した対策により、感染者数が少ない。そのため、心配した家族から帰国を促す連絡が来ることもあるという。
「帰国は考えていません。それでも、まだ日本は安全だと考えています」
ベトナムではバイクに乗るときなど、普段からマスクをつける習慣があった。
「ベトナム人はミシンを買い、マスクを作っています」
作ったマスクは知り合いの日本人や困っている人に配っており、国籍を超えた支え合いが広がっている。
レ・フン・クンさん◎30年ほど前に来日。大阪府内でベトナム料理店を営む。日本に定住するベトナム人の助け合いや日本人との交流を目的とした『八尾ベトナム人会』副会長も務める。