今後の3密以外の夏対策
では、次にくる大きな波のために、国や自治体はどういう対策を立てるべきか─。
「今回のような感染者数や死亡者数だったのは、妥当だったのかは検証や反省をしてみなければなりません。日本はPCR検査が他国に比べ圧倒的に少なく、検査をせずに回復した方や亡くなった方が多いはずで、実態がつかめていません」(北村特任教授)
「保健所の強化や呼吸器系の医療従事者の確保が必要だと思います。今回は、ぎりぎりのところで医療崩壊を食い止めたといえると思いますが、次回はさらに過酷な状況になれば病院は混乱します」(佐藤院長)
そんな危機を招かないためにも、私たちはどう心がければいいのだろうか─。
「やはり今回、経験して得たことが基本です。手洗い、マスク、そして“3密”を避ける、ソーシャルディスタンスを保つ、不要不急の外出をしないこと。それに免疫力のためにも、睡眠を十分にとることです」(佐藤院長)
外出先の店舗や施設にも工夫が必要とは北村特任教授。
「小売店などは店頭に消毒液を用意し、マスクをしない人は入れない。店内に10人以上は入れないなど、コストはかかりますが、そういうことを日常的にやることですね」
巣ごもりやテレワークで私たちの日常生活は大きく変化したが、消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんはこうアドバイスする。
「予想以上に景気が悪化しているため、夏のボーナスが半減、あるいは出ない中小零細企業もあるはず。そうなると、ボーナスで多めにローンを払っている人もいるので、家計は苦しくなります。そこはレジャー費や飲み代などの接待費が減っているはずなので、ローンのために貯蓄しておいたほうがいいですね」
さらに、こんな注意点も指摘する。
「夏場のエアコンや水回りの修理が必要な家庭は、早めに点検して依頼したほうがいいです。修理業者も現在、時短になっているので、すぐに対応できないこともあります」
松崎さんは、“3密”や人との接触を避けるために、買い物について、こんな習慣づけを夏の間にしておきたいと提案する。
「昔あった御用聞きのようなシステムがあれば理想ですが、現代であれば電子マネーでの支払いや、ネットで注文して店舗で受け取るだけのシステムなども、これを機に試して慣れておきたいですね」
スマホやパソコンに疎くなりがちな高齢者には簡単なことではないが、前出の北村特任教授からはこんな提言も。
「諸外国に比べ日本の高齢者の死亡者数が少なかったのは、外出や孫と会うことを控えた努力の賜物だと思います。高齢者は症状が急速に悪化するおそれがあります。次の波に備えて、味覚・嗅覚がおかしくなったら行く病院など症状別にあらかじめ決めておいたほうがいいでしょう」
自粛要請が解かれると同時に外出して、今までのうっぷんを一気に晴らしたいところだが、その前に次なる感染拡大に備えたい。
【識者PROFILE】
◎KARADA内科クリニック 佐藤昭裕院長
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