渋谷上級顧問 実際に中国が、コロナの感染拡大をWHOに伝えるところで、少し手間取ったところはあるが、WHOが中国寄りということはないと考えます。
WHOも官僚的な組織で完璧ではないし、その国の承認を得ないで勝手に調査に入るような強力な権限は持っていません。
WHOは昨年12月末に中国から報告を受けた直後、今年1月1日には米国のCDC(疾病予防管理センター)へ報告、協議しています。
新型コロナの武漢研究所発生説ですが、ウイルスを人工的に作り出したものかどうかは、遺伝子を調べればすぐにわかるもの。多くの研究から世界的にもそれは否定されています。
終息が見えない中、米国は本当に離脱?
中林教授 もし離脱すれば、その影響は計り知れないので、WHOだけでなく、欧州なども反対しています。大統領選挙の結果や予算の決定権を持つ議会の判断にもよりますが、脱退に議会の同意が必要かどうかは明確ではありません。
いま全米で黒人差別に対する暴動が起きていることもあって、50%を超えていたトランプ大統領の支持率は40%台にまで落ちているが、もし彼が再選されれば、WHOとの関係はなかなかよくならないかもしれません。
ただ、南シナ海での中国の軍事的行動で、米国での中国批判が高まっているので、たとえ民主党候補のバイデン氏が大統領になっても、対中関係はよくはならないのではないでしょうか。
渋谷上級顧問 離脱は大統領選挙と米国の世論次第ですが、WHOと米国のCDCは昔から二人三脚でやってきたので、今後も協調してやっていただきたい。
パンデミックには多国間の協力が必要です。
トランプ大統領は、二酸化炭素の排出規定を行う「パリ協定」からの脱退(11月)も実行するなど、強硬な姿勢をとることがあります。
今回は、単なる脅しだといいのですが……。