小さい子どもは遊具をなめてしまう
アトラクションもさまざま。『ビッグサンダー・マウンテン』(TDL)など猛スピードで滑走する絶叫系コースターで思わず悲鳴を上げた場合、飛沫(ひまつ)をまき散らしてしまいそうだけど……。
感染症専門医で東京・品川区の『KARADA内科クリニック』の佐藤昭裕院長は「子どもに“叫ぶな”と言っても無理ですよ」と首を振る。
「絶叫すればするほど飛沫は飛びます。乗車時はマスクをしたほうがいいでしょう。屋外のアトラクションならばマスクがなくても大丈夫かもしれませんが、屋内のものは絶対にマスクをすべきだと思います」(佐藤院長)
お化け屋敷や『タワー・オブ・テラー』(TDS)など恐怖系アトラクションも、悲鳴を上げずに進むのは難しい。
「マスク着用で飛沫はかなり防げる。入場時にマスクをはずし、折ったハンカチを口に当てておけば、より飛沫を少なくできます。タオルをたたんで口に当ててもいい」(同)
ただし、屋外で小学校低学年以下の子どもにマスクをさせると、身長が低いため地面からの熱をダイレクトに受け熱中症になりやすいという。「大人が抱っこして高い所にいれば大丈夫」(同)というから、保護者が体力を求められる場面もありそうだ。
乗り物は安全バーで身体を固定されることも多く、恐怖でしがみつく客もいる。
バーなどを握ったときの接触感染のリスクについて、日本医科大学の北村義浩特任教授(ウイルス学)が答える。
「乗ったあとは必ず手洗いや消毒をすることです。ビニール手袋などを持参し、つけて乗ってもいい。施設側は、お客さんが入れ替わるごとにアルコール消毒してほしい」
『スティッチ・エンカウンター』(TDL)などシアター系室内アトラクションでは、“3密”が懸念される。おおむね暗闇になるためほかの客との距離感をはかりにくく、顔の向きも見えづらい。
前出の徳田室長は、
「座席の間隔を十分にとり、施設側で換気をしっかりすること。客を入れ替える時間にゆとりを持ち、ドアを開放して空気も入れ替えたい」
と回避方法を示す。
遊園地には幼児が乗れるアトラクションもあるが、自由に遊ばせてはいけない。
「小さいお子さんは遊具をなめてしまう。親が注意しても、ついやってしまうから厄介です。親がしっかり見守っておくしかないでしょう」
と前出の佐藤院長。
USJでは、巨大ジャングルジムの『ビッグバードのビッグ・ネスト』など休止に踏み切ったものも少なくない。
「行政とも相談し、お子さんが順繰りにベタベタ触っていくような小規模なアトラクションは休止します。安心できるよう衛生対策を強化し、ゲストとともにこのような状況における楽しみ方を模索していきたい」(USJ広報担当者)
アトラクション以外で対応が気になるのは、“地蔵”状態を誘発するショーやパレードの運営方法だ。
「後ろのほうで立ったまま鈴なりになったり、少しでもいい場所で見学したいと、すき間に入り込む客が出てくる心配があります」
と前出の徳田室長は言う。
またキャラクターとの記念撮影や触れ合いについて、
「触ったら手を洗えばいい。ミッキーはしゃべらないはずなので、飛沫感染のリスクは低いのではないか」(同)
との見方を示した。