パブリックイメージを変えた30代
12月には40歳を迎える。
「今、気づいた! この『危険なビーナス』が30代最後の作品になるんですね」
10代でデビューし、20代は青春ものから大河ドラマまでさまざまな作品で活躍。30代になると『悪人』('10年)、『怒り』('16年)『愚行録』('17年)など人間の根源的な闇をあぶり出す映画作品に意欲的に出演。
一方で、『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』('17年)のようなポップなコメディーも。役者としての幅を確実に広げながら、トップランナーであり続けている。
「オファーいただいたもので、自分がすごく惹かれるものに対しては積極的に取り組もうという意識はありました。でも『悪人』がきっかけで、僕に持たれていたパブリックイメージのようなものは、わりと変わったんじゃないかと思います。それによって、オファーをしてもらえる作品にも変化が生じてきたのかなと思います」
かつての妻夫木は、さわやか。キラキラしてまぶしい好青年……そういったイメージが強かった。
「自分自身のパブリックイメージをそんなに深く考えたことはなかったけど、常に自分は自分でいたい。そして、いま持っている感情をそのまま出したい、という思いがあって。だから“妻夫木聡が、妻夫木聡を演じる”という瞬間があるのが、すごく気持ち悪いんです。だから、そういうのはあんまり好きじゃなかったなぁ」
40代、今後どんな俳優を目指しているのだろう。
「“自分はこれしかやらない”っていうスタンスではなく、幅広くありたい。ミステリーもシリアスもラブストーリーもやりたいし、ドラマも映画も舞台もやりたい。それを“どっちつかずだね”って言われたら、おしまいなんですけど(笑)。
なんか、ジャンルに当てはまらない、僕だけのものを求めていることになるのかな? 今の感覚を失わずに、役に対して貪欲で、覚悟を持ってずっと挑める俳優でいたいかな」
答えにくいであろう質問にも、ときに冗談を交えながら自らの言葉でキチンと話してくれる。役に対して、自分に対して、妻夫木聡はどこまでも真摯な俳優だ。
『半沢直樹』からバトンタッチ!
9月27日の最終回では32.7%という視聴率をたたき出した『半沢直樹』。このお化けドラマから、日曜夜9時というバトンを引き継ぐ。
「ちょっとラッキーかなと思っているんです。昔『天地人』('09年)っていう大河ドラマをやったときも、『篤姫』の後で、いい視聴率を引き継いでやれて“よしよし”なんて思っていたので(笑)。今回も『半沢直樹』からのいい流れを引き継ぎつつ、『半沢直樹』とはまったく違うジャンルのミステリーを視聴者の方には新たに楽しんでもらえたら、と思っています」
10/11(日)スタート
『危険なビーナス』に主演
夜9時〜(TBS系)