……正直、ツライ

春馬と一緒に見たかったですよ。本当だったら今、僕の横に春馬がいて、五代の役作りだったり、あのシーンはどうだったの? とかいろいろ聞きながら取材に答えていたんだろうなって……。でも本当にいい作品だし、みなさんに見ていただきたいので、宣伝しかり舞台挨拶しかり、春馬がいない今、自分にできることは何でもやろうと思いました。
 
 ……正直ツライですよ、でも映画を見てくださったお客さんにはそういう思いをしてほしくないんです。春馬自身も望んでることじゃないと思うし、彼の意志を受け取ってみなさんには前向きな気持ちになってほしいです。五代や龍馬がそうだったように、よりよい未来に向けて自分は何ができるか少しでも考えていただけるきっかけになればうれしいです。僕も映画が公開されたら、ちゃんと春馬に報告したいと思っています」

【コラム1】
 映画は去年の撮影だったので僕が31歳だったんですけど、坂本龍馬が亡くなったのが33歳。何か感慨深いものがありましたね。龍馬が生きた時代は、国の反目にまわったら命を狙われるわけじゃないですか。だから、ごはん食べてお酒飲んで酔っ払ってなんてできないはずなんですよ。もしかしたら、いきなり扉から刺客が入ってきて、切られるかもしれない。そんな精神状態で生きていくなんて、僕には想像できない。日本を変えるために、命がけで生き抜いた龍馬や五代友厚の偉大さを改めて感じました。

(C)2020「五代友厚」製作委員会
(C)2020「五代友厚」製作委員会

【コラム2】
僕が思い描く坂本龍馬の魅力は豪放磊落(ごうほうらいらく)で自由、小さなことにこだわらないけどすごく合理的、でもちょっとせっかち。薩摩藩と長州藩に薩長同盟を結ばせたり頭もいいし、行動力がある、そしてまじめにひとつのことに突き進むんだけど、ときにはふわふわしたりするところもあって、いろんな面を持った人だったのかなって思います。そういうところが、今も愛され続けている理由なのかもしれないですね。そういう人柄、すごく魅力的だと思うし、憧れます。

【コラム3】
 7月に息子が生まれました。昔からインタビューで「若いうちに子どもが欲しい」ってよく話してたけど、やっぱり子どもは可愛いですね。赤ちゃんって毎日、顔が変わるから見ていても楽しい。自分自身が変わったこと? まわりからは「穏やかになったね」って言われることが増えました(笑)。自分の中では基本的なところは何も変わってないと思うけど、守るものが増えたっていう責任感が出てきたかな。仕事も今まで以上にもっと頑張らないといけないなって、強く思うようになりました。

【コラム4】
 天外者(てんがらもん)は、鹿児島弁で「すさまじい才能の持ち主」という意味なんですけど、僕のまわりにも天外者は多いですよ。誰っていうよりも、この業界にいる人たちは全員、すさまじい才能の持ち主だと思います。それは役者にかかわらず、裏方の方たちもそうだし……。あとアスリートも音楽家もクリエイターの方も、僕が仲よくさせてもらっている人たちはみんな天外者です。日々、彼らからたくさん刺激をもらってます。

(C)2020「五代友厚」製作委員会
(C)2020「五代友厚」製作委員会

『天外者』
2020年12月11日(金)より、TOHO
シネマズ日比谷ほか全国公開

取材・文/花村扶美 ヘアメイク/清水恵美子 スタイリング/根岸豪