完全に失敗に終わったと思われる、アンジャッシュ渡部建の謝罪会見。謝罪の場で、自分をさらけ出し、誠心誠意詫びる“最後のチャンス”を活かしきれず、致命傷となってしまった。

「これまで多くの場で言われているように、会見のタイミングも受け答えも、いずれもよくありませんでした。さまざまな問題をスッキリさせるために開く会見であるはずが、余計にモヤモヤを残してしまいました」

 と語るのは、あるテレビ関係者。報道によると、渡部は大晦日に放送されるダウンタウンの『絶対に笑ってはいけない大貧民GoToラスベガス24時!』(日本テレビ系)に出演し、芸能活動復帰の第一歩にする予定だったと言われている。会見のタイミングは、そこから逆算されたものでありそうなこともまた、不評をかう一因となり、前出の関係者も「芸能活動の復帰は、また遠のいた感じですね」という。

ダダすべりの”すれ違い会見”

 そんな状況の中、渡部がまた人気タレントとして復帰するため、そして世間に許されるために、いったいどのような手が得策と考えられるだろうか。バラエティー番組などを手がける放送作家に聞いた。

やはり原点にかえり、お笑い芸人としての芸を見せること、舞台でも配信でもいいと思いますが、アンジャッシュとしてのネタを見せることが一番だと思います。お笑い芸人に限らず、お芝居でも音楽でも、“芸”のある人なら、まずはそこに真摯に打ち込む姿勢をみせることが一番です。コンビとしていちからまた愚直にがんばっていくことに尽きるでしょう。児嶋さんの好感度がどんどん上がっている今、協力してもらうべきではないでしょうか」

 同じお笑い芸人で、新婚直後に不倫をしていたことが発覚した狩野英孝は、その後の三角関係や6股疑惑、さらには未成年との交際が発覚して謝罪するも謹慎処分を受けた。が、狩野は比較的早い段階で地上波番組への復帰ができている。渡部と比較すると、何が見えてくるのだろうか。

「狩野さんの場合、もともと“ダメな芸人”というイメージを持たれていたため、スキャンダルに際しても、『やっぱりダメな奴だったんだ』という目で見られ、恨まれないところがありました。一方の渡部さんは、“ポンコツ”の児嶋さんに対してしっかりしていて、奥さん思いである、グルメに精通しているといった、プラスイメージが多かっただけに、そのギャップが大きかった。スキャンダル前まで好感度がよかった、クローゼット不倫の矢口真里や、ゲス不倫のベッキーのパターンと完全に一緒です」

 好感度の高さが災いした部分は大きいという。近年の渡部は芸人というよりもタレントとしてのイメージが強かった。タレントは、イメージ=好感度という存在だけに、地上波の民放テレビは特に好感度を意識するという現実。渡部の多目的不倫発覚から、今回の要領を得ない謝罪会見は、多くの芸人への見本になったのでは、というのは芸能記者だ。

「あの謝罪会見は、世間を相手に『すれ違いコント』をしているようで、スベってしまった感が否めません。不倫発覚直後に全てを正直に話し、これまでのようなキレのある“すれ違いネタ”を盛り込みながら、巧みに報道陣を扱えば、ここまで好感度を失うことはなかったと思います。一歩間違えれば“茶化すな”と余計に怒りを買うことにもなりますが、渡部にはその賭けをする勇気がなかった。ほかの芸人さんたちには、日ごろの行い含め、今回はいい教訓になったのではないでしょうか」

「笑ってはいけない」での年内復帰が潰えた渡部。「笑ってもらえる」芸人としての復帰への道のりはまだまだ険しい。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉