勢いに乗る任天堂の株も購入可能だが、現在の株価は6万6720円(12月18日時点)。100株単位で購入しなければならないため、最低でも約670万円が必要となれば気軽に手を出せるものではない。
ならば任天堂の【仕入先】を見てみると、ホシデン、ミネベアミツミと記載されている。ホシデンは約10万円、ミネベアミツミは約21万円で株を購入できる。ホシデンはコネクターやジャックなどの部品大手で直近の有価証券報告書によると売上高の実に6割が任天堂向け。機械加工品を手掛けているミネベアミツミも、同様に1割強が任天堂向けとなっている。
任天堂が【仕入先】の会社もある。たとえば玩具卸のハピネット。記事には「任天堂商材中心にビデオゲーム卸の好調続く」と書かれている。ハピネットの四季報記事を読み進めると「【救世主】『鬼滅の刃』関連玩具を10月末から展開開始」とある。
ハピネットの【仕入先】には任天堂のほかにバンダイの記載もあり、バンダイナムコホールディングスの四季報記事では「『鬼滅の刃』関連商材も貢献大」と書かれている。ハピネットの株価は8月以降、右肩上がりが続いており、3月の935円を底にして足元は1600円前後で推移している。
連想ゲームでお宝銘柄を発掘
【仕入先】【販売先】の、ほかの例も見てみよう。スクロールという会社は生協の顧客向けに衣類などの通販を手掛けており、【販売先】にも生活協同組合連合会と記載がある。有価証券報告書によると生協との取引は営業取引額全体の48%を占めている。
巣ごもり需要でスーパーはもちろん、こうした宅配サービスが急成長している。上場企業だとオイシックス・ラ・大地などが該当するが、生協は未上場のため株式投資の対象ではない。しかし関連銘柄としてスクロールをチェックすることは可能だ。四季報では「柱の生協向け通販は部屋着など在宅商材軸に想定超」と書いてあり、今期は最高純益を大きく更新する業績予想となっている。
このほかにも、ユニクロを展開するファーストリテイリングが【販売先】のマツオカコーポレーション、無印良品を展開する良品計画が【販売先】の三栄コーポレーションなどもある。ファーストリテイリングも良品計画も、コロナの影響を徐々に脱しつつあるようだ。
四季報をパラパラめくっていると、こうした企業のつながりがふと目に入ってくるときがある。連想ゲームのように楽しんで、隠れたお宝銘柄を探していただきたい。
田野 真由佳(たの まゆか)東洋経済 記者
2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。