和やか雰囲気が裏目にでることも
もともとの彼らの気質も関係していたのかもしれない。
「みんなほのぼのしていて、自分から前に出るタイプではありませんでした。そんな和やかな雰囲気がファンからも愛されていたのですが、芸能界で生き残るうえでは、それが裏目に出てしまうこともあったんです」(同・芸能プロ関係者)
積極性を見せないことで、スタッフからの評価が低くなってしまったことも。
「歌番組ではMCが話を振りやすくするために、事前にアンケートを書いてもらいます。まだ売れていないアイドルはびっしりエピソードを書くもの。大野さんは長文で記入していたそうですが、ほかの4人は当たり障りのない回答ばかりだったといいます。深みのないエピソードばかりでは目立ちませんよね」(同・芸能プロ関係者)
なかなか日の目を見なかった彼らにもチャンスが訪れる。'04年の『24時間テレビ』(日テレ系)で、初めてのメインパーソナリティーに抜擢されたのだ。
当時、同番組の総合演出を担当し、現在は京都芸術大学で客員教授を務める村上和彦氏に話を聞いた。
「前の年はTOKIOがメインだったので、'04年はフレッシュ感を出そうということになりました。ただ、当時の5人の知名度を心配する声もあったので、スペシャルサポーターとして東山紀之さんをつけるようお願いしたんです。メインは嵐ですが、脇にいわば重鎮がいるスタイルにしました」
大役が決まったことを5人に伝えた際のメンバーの反応が印象に残っているという。
「みんなすごく喜んでいました。ただ、東山さんをサポートにつけることを伝えると、頭のいい櫻井翔さんは“僕たちだけではダメなんですか?”と真剣な顔で聞いてきましたね。“ベテランの人がいたほうが、君たちも安心できるから”とフォローしましたが、彼は見抜いていたと思います」(村上氏、以下同)
それでも、5人は全力で番組に取り組んだ。
「大野智さんは耳の聞こえない少年とダンスをし、櫻井さんは目の見えない女の子とピアノを弾くなど、子どもたちと一緒に練習をして本番は武道館で演奏するという企画がメインでした。カメラを入れたロケは3~4回でしたが、5人はそれ以外の日も時間を見つけて足を運び、練習を重ねていたそうです」
エンディングでは、相葉雅紀がメンバーに向けて、“トップになる夢を叶えよう”という手紙を読み上げた。
「ほかのメンバーには内緒にしたサプライズ企画でした。台本でも、“故郷のおじいちゃん、おばあちゃんが孫たちに感謝する”という内容をやることにしていました。“謎のVTR”とすると、勘のいい櫻井さんに気づかれる可能性がありましたからね(笑)。相葉さんは涙を流していて、ほかのメンバーも必死に涙をこらえていましたよ」
相葉の手紙で、夢を再確認した5人。ここから、彼らはそれぞれの得意分野で才能を開花させ、世の中に“嵐”を巻き起こしていくのだった──。