プリンちゃんを引退させたい熊本県
東さんが指摘するような番組でのプリンちゃんの扱いについて熊本県が動き、'20年12月16日、阿蘇カドリー・ドミニオンに対し指導が入ったというわけだ。指導にあたった阿蘇保健所を管轄する熊本県健康危機管理課動物愛護班に話を聞いた。
「撮影時、引綱(リード)はなく、逸走防止の検討がなされていなかったため、次の指導を行いました」
●チンパンジーは特定動物であることから、逸走しないよう対応を考慮し、動物取扱責任者の監督のもと、撮影を行うこと。
●施設複数箇所に連絡網を掲示し、緊急時にスタッフが関係機関に連絡が取れる体制を整え、安全確保に努めること。
●特定動物の年齢に応じた適切な行動抑制法を検討し、人の生命や身体等に害を加える恐れがないよう適切な飼養管理を行うこと。
熊本県はその後、文書でも指導を入れている。
「『動物の愛護及び管理に関する法律』及び『展示動物の飼養及び保管に関する基準(環境省告示)』、『特定動物の飼養又は保管の方法の細目』を遵守するよう通知しています」(健康危機管理課動物愛護班)
注意が入ったことについて前出の東さんは、
「文書が出たことは少し驚いたのですが、カドリー・ドミニオンは、過去にプリンちゃんのお父さんであるチンパンジーのパンくんによる人身事故を起こしているので、熊本県はプリンちゃんをなるべく早く引退させたいようです。チンパンジーは野生動物であり、家畜化された犬などとは違います。成長に伴い力も強くなるので、通常は数歳でショーから引退させることになるのですが、パンくんは10歳までショーに出されていて事故につながりました。
保健所はプリンちゃんを早く引退させるように指導しているそうなのですが、いつ引退させるかということを、カドリー・ドミニオン側はこれまで示していないようです」