「2009年ごろからスマホが普及しだして、テレビが次第に娯楽のトップじゃなくなり始めたんです。では、みんながどういう作品に惹かれるのか。それを探るうちに、2010年に『Mother』、2011年に『家政婦のミタ』(共に日テレ系)、2012年の『ドクターX〜外科医・大門未知子』(テレ朝系)、2013年の『半沢直樹』(TBS系)などのヒットにより、視聴率の取れる社会派ドラマや医療もの、刑事ものが一気に花盛り。結果、恋愛ドラマが次第に減っていったんだと思います」
ネットやスマホの普及により、2010年代は趣味趣向の多様化が加速。特に若い世代にはテレビ離れが顕著になっていく。そんな中、1980〜1990年代に恋愛ドラマにハマっていた層に向けた作品が作られる。
不倫に同性愛、恋ドラは多様化
「恋愛ドラマが少なくなる中、1980〜1990年代に恋愛モノにどハマりし、年齢を重ねた世代をターゲットにして作られ話題となったのが2010年の『セカンドバージン』(NHK)や2014年の『昼顔〜平日午後3時の恋人たち』(フジ系)。
恋愛ものが急に不倫に傾いちゃいましたが(笑)、ある意味、その世代の等身大の恋愛が刺さったのかもしれません。不倫相手が長谷川博己さんや斎藤工さんというのもまたよくて、おふたりともブレイクしました」
多様化の波は徐々に恋愛ドラマにも。すると2010年後半、テレビを離れ始めた若い世代にも刺さる作品が次第に作られ、恋愛ドラマは再び活気を取り戻し始める。
「2016年の『逃げるは恥だが役に立つ』、2019年の『凪のお暇』(ともにTBS系)は、そんなに恋愛にガツガツいかず、ちょっと楽に自分らしく生きたいという若者世代の共感を得た恋愛ドラマ。すごく新しいし、時代性のある恋愛ドラマだと思います。『恋つづ』など若い世代に向けたキュンドラマも、少女漫画を原作にした恋愛映画のヒットを受けて、その作り方がドラマ界にもどんどん流れ出した。
2016年には田中圭さんや吉田鋼太郎さんらをキャスティングし、男性同士の恋愛を描いた『おっさんずラブ』もヒットしましたし、恋愛ドラマも多様化し再び盛り上がり始めて、時代の流れとともに作られているんだなと感じます。
個人的に期待しているのがフジの月9。2017年の『突然ですが、明日結婚します』が平均視聴率6・7%と振るわず、それ以来恋愛ドラマが作られていないんですよ。なので、月9ならではのキュンドラマを作って欲しいです(笑)」