コロナ禍で必要なスキンシップなのか?

『I Loveみんなのどうぶつ園』の4月17日放送回では、『5か月ぶりの再会! プリンちゃんを楽しませてあげたい!』として、MCの相葉雅紀が都内から熊本まで会いに行った模様を伝えている。

 コーナーは“前任”である志村けんさんとの思い出を随所に挟むという“感動”が盛り込まれている。そしてそのなかではマスク越しではあるが、相葉がプリンちゃんにマスク越しでキスや抱きつくなどの“スキンシップ”が見られた。

 このコロナ禍にあって、ドラマですらキスシーンを「NG」としたり、細心の注意を払っているなか、恋愛を主軸とするドラマならまだしも、動物番組的に必要な行為なのかという疑問が残る。

「マスクが、ウイルスを含む飛沫の拡散を完全に遮断するものではないことは、報道などでもくり返し発信されています。帰宅後に手や顔を洗うことが推奨されているのは、顔にウイルスが付着している可能性があるからです。

 あそこまで接近してしまうとマスクをしていても意味がないと感じますし、キスだけではなく、抱っこしたりの接触も多く、新型コロナウイルスに配慮がないと感じました。また、野生動物に近づいて不適切な接触をしていいんだというメッセージを視聴者に対して発してしまったことも問題だと思います」(東さん)

 前回は「自転車に乗せる」という“芸”を見せたプリンちゃんだが、今回は“細かい作業が好きなプリンちゃん”という前提によって、相葉がジェンガをプレゼントし、いっしょに遊ぶというシーンが見られた。それは番組としては“志村さんともいっしょに遊んだ大好きなもの”だそうだ。

「チンパンジーの指の器用さや理解力の高さは、人間を楽しませるために存在するわけではないので、ただ単に娯楽として見世物的に扱ってしまっているという意味で、以前プリンちゃんにやらせていた自転車などと同じだと感じました。

 野生では、チンパンジーはシロアリなどを器用に棒で釣って食べたり、道具を使う採食行動をしますし、仲間と協力して行動する社会性の高さも持っています。人間が素晴らしいと感じるこういった能力は、彼らがアフリカの大自然の中で生きていくために獲得した能力です。

 その能力を営利目的で利用するために、飼育下で生まれたチンパンジーの子から奪ってしまうのは、本当に残酷なことだと改めて思いました。また、この番組は、そういった本来の生態を伝える教育的なメッセージの発信がないことも問題だと思います」(東さん)