「自分自身を犠牲にして助けてきたスタッフの方の思いをどう受け止めているのか。退所のコメントもすごく薄っぺらく感じる」
突然のジャニーズ事務所退所を公式ホームページで発表した近藤真彦。そんな近藤に対し、辛辣な言葉を放った東山紀之に目を丸くした人は多いだろう。5月2日、司会を務める『サンデーLIVE!!』(テレビ朝日系)で「退所の仕方に大きな疑問が残る」との見解を示し、大先輩であるマッチをバッサリと切り捨てた。なぜそんなに怒っているのか。ジャニーズ事務所の関係者によれば、
「後輩たちにもファンにもまったく説明がなく去ったことに怒っているようです。ジャニーズのタレントはファンのおかげで自分たちがある、そのファンを最も大切にしなければならないと教えられてきました。ですからマッチのコメントにファンに投げかける言葉がなかったことが許せなかったのかもしれません」
東山の怒りはもっともだと賛同する声は多いが、ジャニーズの後輩が先輩に対して苦言を呈したことのほうが驚きだ。前代未聞ではないだろうか。
東山紀之の決意
昨年11月に不倫騒動を起こし、事務所関係者に迷惑はかけただろうが、ほかの芸能事務所を見渡しても、不倫を報じられたタレントが退社にまで追い込まれる例は少ない。しかも近藤はかつてメリー喜多川名誉会長が“うちのトップ”とも言っていた事務所の重鎮。
そんな立場の彼が事務所のイメージを貶めたとあってはただで済みそうもない。退いてもらいたいと思う社員が出てきても不思議ではない。元ジャニーズ関係者は今回の退所に至った経緯について、「不倫騒動で無期限の活動自粛を言い渡されたときから始まっていた」と語る。
「マッチから退所を申し出たということですが、そうせざるを得ないような空気を作ったということでしょう。
芸能活動はまだしもレーシング活動ができないのは彼にとって耐えられなかったんですよ。彼のレースに対する思い入れは半端ではなく、あのマッチが全国をひとりで回ってスポンサーを集めているんです。不倫騒動をきっかけに、事務所は芸能活動とは関係のないレースでの活動にも制限をかけた。自分から活動再開しますとは言えませんし、メリー喜多川さんも会社も“再開していいですよ”と言ってくれない。限界だったと思います」
事実、レーシング関係者に取材したところ、このような証言も得られた。
「不倫騒動以降、近藤さんが代表を務める『KONDO RACING』のレースサーキット上から彼の姿は見られなくなりました。以前は必ずといっていいほど現場にいたのですが」
近藤の今後の活動についてはレーシングチームの運営会社が窓口となるそうだ。活動再開はレースの監督として復帰することが決まっている。
「たしかにマッチは郷ひろみさんが退所したあと、80年代に事務所を支えた立役者です。しかし今のジャニーズでは“お荷物”だと思っている人が少なくありません。社長のジュリーさんや副社長の滝沢(秀明)君にとっては目の上のタンコブだったことでしょう。東山君にとってもね。会社としてはマッチさんが関連会社の株を持つ重役なので、話を通さなければいけない。本人は会社のプロジェクトに口出しするというわけでもないのですが」(同・元ジャニーズ関係者)
冒頭のように東山が大先輩に対して強い態度に出たのにもワケがあるようで……。
「ヒガシは、その当時メリーさんが娘と結婚させたいと思っていたほどのお気に入りでした。今もよく電話で連絡を取り合っているそうです。ジャニーズはジュリー(代表取締役の藤島ジュリー景子)・滝沢体制だと思っている人たちがいますが、実は東山さんも事務所の中枢を担っている。
今回、彼がマッチに対してあのような発言をしたのは、これからは自分がジャニーズを背負っていくという強い決意を表明したかったんじゃないですか。まわりの人間は、ついに彼は腹をくくったのだと見ています」(同・元ジャニーズ関係者)
近藤の不倫が事務所の体制を堅固なものにしたとすればなんとも皮肉なことだが──。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之> ◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。