「おじいちゃんが僕に医者か自衛官になってほしいと思っていたらしいんです。外科医をしている叔父の病院に入院しているおじいちゃんにテレビ電話をしたら“白衣を着た亜嵐の姿が見られるからうれしい”と言ってくれて。おじいちゃん孝行ができたかなと思っています」

 現役の外科医で作家でもある中山祐次郎さんの同名小説をドラマ化した『泣くな研修医』で、主人公の研修医・雨野隆治を演じている白濱亜嵐。初挑戦の医師役に、研修医に関する本を読んだり、現役研修医が書いているブログに目を通したりしながら役を作り上げていった。

 正義感が強く、熱血でまっすぐな雨野が白濱と重なると伝えると、

「あまり役作りが必要ないというか(笑)。演じやすいですね。ただ、雨野のような“見栄っ張り”な部分は僕自身にはないと思います。タイトルにあるように、研修医の雨野は打ちのめされるたびに、泣いてしまうことが多い。ただ、僕がドラマや映画、芝居を見るとき、その役柄が泣くのを我慢したり、耐えたりしている姿に感動するというか、心が動くことが多いんです。なので、雨野が耐えている瞬間を特に見てほしいですね」

白濱亜嵐 撮影/佐藤靖彦
白濱亜嵐 撮影/佐藤靖彦

患者に寄り添う医師、感じる命の大切さ

 ドラマの中で、“(研修医とは)医師のために何でもする兵隊。いかに医者が機嫌よく仕事ができるかだけのために存在している”という看護師のセリフが。医師ではあるが、知識も経験も浅い研修医たちは、何もできず、何もわからず、先輩医師や看護師たちから怒られながら、患者を前に無力である現実に打ちのめされる。

「いろいろな患者さんとお会いするのですが、それぞれの人生があって、ドラマがある。医療モノって難病を治すスーパードクターが出てくる作品が多いと思いますが、このドラマは違います。患者さんに寄り添う医師たちの姿をすごくリアルに描いているので、改めて命の大切さを感じています