《わたしは今、人生史上一番幸せだと思う》

 そう書き出された1冊の本が話題となっている。5月13日に出版された、モデル・吉川ひなのエッセイ『わたしが幸せになるまで 豊かな人生の見つけ方』(幻冬舎)だ。この1冊が話題となったのは、その“幸せ”ではなかった両親との関係の告白だ。

「12歳でモデルとしてデビュー後、その9等身の抜群のスタイルと可愛らしさですぐにトップモデルに。モデル以外にもドラマや映画、また歌手としても活動し、一時は契約社数11社とCM女王にも。しかし、多忙を極め人気絶頂だった当時の裏側を今回のエッセイで告白しています。

 彼女の稼ぎはほぼ両親が使い込み、ひなのさんが芸能界を辞めようと決心し、両親に今までの稼ぎを分けてほしいと言うと、当時住んでいた豪邸の家賃1か月分も残っていなかったそうです。その後両親とは距離を取っていたそうですが、金の無心は止まらず、彼女の500円玉貯金すら父親は奪っていったことを綴っています」(スポーツ紙記者)

 吉川の“毒親”告白はネットを中心に反響を呼び、SNS上では現在の夫と幸せな生活を手に入れた彼女を称賛する声が多数上がった。

吉川ひなのが本当に“主張”したいこと

 しかし、この本の狙いはおそらくそこではない。毒親告白は、彼女がしたい“別な主張”の入り口に過ぎない。

「ひなのさんのエッセイ毒親告白があるのは、1冊のうちの最初の部分だけ。目次を基準にいえば、それらは第1章が始まる前の前段部分となります。第1章である“ポジティブに生きるための心と体の整え方”以降は、彼女が現在実践するオーガニックすぎるほどの生活、健康法、思想の紹介が最後まで続きます。もちろんそれ以外の人の生活を否定したりするものではありませんが、ハワイで暮らす彼女の体験を交えながら、“トンデモ健康法”のような生活が無邪気に綴られています」(美容ライター)

 エッセイの第1章は“月のめぐり”からはじまる。吉川曰く《新月の日は、解毒の作用が強い》《満月から新月に向かう時期はデトックスやダイエットに向いていて、逆に新月から満月に向かう時期は栄養を溜め込みやすい時期》だという(以下、《》内はエッセイより引用)。

 今回、エッセイで綴られた吉川の現在のナチュラルライフの効果について、医師に検証してもらった。この月のめぐりと人体の関係について、新潟大学名誉教授で医療統計の第一人者と呼ばれる医学博士の岡田正彦先生は、

「結論を言いますと、精神的なもので科学的でないと思います。満ち欠けによって月の引力が変わり、地球では水面が上がったり大きな影響を及ぼします。“ムーンダイエット”というものを提唱している人がいて、引力が変わるので、人体にも影響を与えているという発想ですね。ただ、重力とダイエットは無関係だと思いますね。たとえば丹念に体重を測り、食べものも同じにし、月の満ち欠けと共に体重が減っているか増えているかというデータがあれば多少考察は可能だとは思いますが……。

 そもそも人間は1日のうちに2キロ前後体重が前後します。たまたま満月のときに測ったら何キロで、月がないときに測ったら減っていたなんて話はアテにならない。時間や食べる量などをぴったり調整しないと月の影響であるという証明ができません」