地元の事情に詳しい男性住民はこう話す。
「真面目で、腰が低くて、いつも親身に笑顔で住民の話を聞いてくれました。困り事を相談するとすぐ現場に足を運んでくれる。最近では、南海トラフ地震に備えて避難時の水源を確保するため、井戸を掘るのにかかる費用や全国の実例を詳しく調べてくれました。事件は信じられず、携帯電話の扱いを間違えて意図せず撮影してしまったのではないかと考えたほどです」
地域で会合があればほぼ確実に顔を出し、イベントにも積極的に参加した。酒もたばこもギャンブルもやらず、女性が接客する店には誘われても行かなかった。年配の住民らからは「ノモっちゃん」と呼ばれ親しまれていたという。
「コロナ禍の昨年11月には、地域のつながりを維持するため近場の名所旧跡をめぐるウォーキングイベントに家族で参加してくれました。奥さんも真面目な人で、野本くんの活動をずっとサポートしてきたから逮捕は耐えられないでしょう」(同住民)
1歳年上の妻と小学校に通う男児2人の4人家族。目撃した住民によると、地元の夏祭りにはハッピを着て、B級ご当地グルメの「富士宮やきそば」の出店を家族でまわったり、飛び跳ねる動作の多い盆踊りを汗をかきながら踊っていた。
「奥さんは専業主婦のため子育てはワンオペ。裏切られた奥さんと子どもがかわいそうだ」(前出・近所の女性)
逮捕後すぐ母子は自宅を離れたといい、訪問しても応答せず人の気配もなかった。
“どこか幼稚っぽいところが……”
話を聞いた市民の多くは野本容疑者について「真面目で熱心な市議」と評したが、逮捕を受けて過去の行動をいぶかしむ声も。
選挙活動中の野本容疑者を知る地元の自営業男性が言う。
「政治家とあって社交的なんだけれども、どこか幼稚っぽいところがあった。関係者が子どもを連れて選挙事務所などに顔を出すと、大人よりも子どものほうに積極的に話しかける。特に女の子に対しては積極的で、慕われるとうれしそうな顔をして違和感があった」
別の政治活動を知る男性は、「人当たりはいいけれども、なんだかジメジメして気持ち悪い雰囲気があるんだよ。逮捕のニュースを聞いたときは“あいつならやりそう”と思った」
と家族に話している。
野本容疑者のわびしい一面を目撃した市内の元支援者はこう話す。
「野本くんは最近ゴルフを始めたらしく、よく1人で練習場に行っていました。その帰りに量販店に寄って、残り物の弁当を買って食べるそうなんです。まだ夜8時ごろなのに自宅に帰ってもごはんをつくってもらえないのかと、ちょっと気の毒に感じましたね。そんなことが2、3回あった。政治家にとってはゴルフも仕事のうちだろうし、夫婦仲も悪くなかったはずなのに」
自宅周辺では「夫婦仲はよかったと思う」という声が圧倒的だっただけに、意外なエピソードといえる。