【50歳】現在の収入がなくなり、自分の老後資金も激減!
「親の介護では2つのリスクが発生します。1つは仕事と介護の両立。もう1つは、周囲の協力が得られず、介護うつになる可能性です」
総務省の「就業構造基本調査」によると、介護離職者の年齢は50歳前後がピークで、そのほとんどが女性。50歳というと、子どもがいる家庭であれば、大学進学などで教育費が最もかかる時期。子育て、家事、仕事と非常にハードな世代だ。
ここに突如として降りかかる介護問題。施設を利用するなどして乗り越えたいが、
「公的施設は入所待ちがほとんど。さらに介護レベルに応じて入所順位も決まるので、早く申し込みをしていればいいというものでもありません」
となれば、民間の介護施設にお世話に……といきたいが「首都圏だと一時入所金が数百万~1000万円のところが多い。さらに月々20万円ほどの費用がかかるなど、総じて高額です」
費用の面だけでなく、親が自宅介護を望むケースも多く、介護離職を選択する人が多いのだ。
「とはいえ、介護離職は極力避けてほしいです。現在の収入がなくなるだけでなく、年金も減り、自分の老後の生活が危うくなります。介護の心労に加えて、自身の金銭不安も重なり、さらに精神的に追い込まれてしまいます」
●横手'sアドバイス『チーム思考で介護離職を回避して』
ひとりで抱え込まず、家族や公的機関、会社の制度を利用するなど、“チームで介護”をするのがベストです。介護認定を受けたらケアマネジャー(介護支援専門員)に相談し、どのような介護サービスが受けられるのか相談を。会社には事情を説明して、介護休業などを積極的に利用して。親の資産がいくらあるのか棚卸ししておくことも必須。資産が十分なら、介護施設や民間のサービスを選択することもできるからです。
【56歳】予想よりもグッと少ない財産分与にガク然
離婚したら、夫の財産すべて半分もらえるわけではない。
「貯金も年金も、婚姻期間のみが対象となります。例えば夫が40歳のときに結婚したなら、40歳から離婚する年齢までに支払った年金分のみが対象。当然退職金も同じ考え方になります」。さらに夫が親にもらった相続や贈与は対象外。「離婚での財産分与は、思ったよりももらえないケースが多い。離婚を考えるならば、弁護士などに相談をし、十分な財産が得られるか確認をしておきたいですね」
●横手'sアドバイス『ペットが夫婦関係のよいクッションに』
財産分与がたとえ2000万円ほどあったとしても、老後を乗り切るのは困難なことも。離婚を考えるよりも、おすすめはペットを飼うこと。共通の話題が生まれてコミュニケーションのきっかけになること多し。
【62歳】銀行のすすめを鵜呑みにし老後資金がみるみる減額
「投資経験がない人が、退職後にあわてて投資に手を出すのは非常に危険です」
“退職金特別プラン”などという金融商品は特に要注意。顧客より銀行が儲かりそうな投資信託を売っていることもあり、増やすどころか大きく減らすことになりかねない。
「実際に私が相談を受ける80代の方は、かなりの割合で銀行に紹介された投資信託を持っていて、そのほとんどが下落し塩漬け状態のもの。仮に退職金の2000万円を投資し、30%目減りすると600万円も減ってしまいます」
●横手'sアドバイス『早い段階で金融リテラシーを身につけて』
遅くても退職する5年前から、退職金の使い道の検討を。「お金のことは夫が」と任せず、中立的な運用アドバイスをしてくれる金融セミナーなどに、妻も足を運んで勉強することが肝心。夫にそれとなくアドバイスできると理想的。