一方、A子さんの夫は心桜さんの搬送に付き添っていたがその後、行方不明に。警察の捜索によって、和歌山港近くで発見されたが、意識は朦朧(もうろう)としていたという。地元紙の社会部記者が説明する。
「夫は警察の取り調べに対して、“カフェインを飲んで死のうとしたが、死にきれなかった”と話しています。さらに心桜さんへの虐待について“大変なことをしてしまった”と認めるような供述もしています。父親は体調が回復次第、心桜さんへの傷害致死の疑いで逮捕されるようです」
2番目の夫と再婚後に虐待を疑う報告が
時を23年前に戻す。'98年に『和歌山毒物カレー事件』で逮捕された眞須美死刑囚。夫の健治さんも保険金詐欺事件などで逮捕され、残された長女のA子さん、次女、長男、三女は養護施設で育つことに。
その後、A子さんは高校を中退して就職。20歳で、最初の夫と結婚する。
「地主で裕福な家だった夫の両親は息子の嫁が眞須美死刑囚の長女だとわかると、結婚に猛反対した」(週刊誌記者)
'05年、駆け落ち同然で一緒になった2人の間に生まれたのが、眞須美死刑囚の初孫、心桜さんだった。冒頭の“婿さん”とは、この夫のことだ。
'07年ごろ、一家は今回の事件現場となった和歌山市内のアパートに引っ越す。
「夫婦の幸せはそう長くは続かなかった。心桜さんが小学生になるころに、2人は離婚。それから間もなく、A子さんは2番目の夫と再婚します」(同・週刊誌記者)
新しい父親を迎えると、A子さん一家の歯車が狂い出す。そのころ、児童相談所に心桜さんへの虐待を疑うような報告があがっていた。『和歌山県子ども・女性・障害者相談センター』に問い合わせると、次のように答えた。
「'13年に、虐待の通告がありました。両親を面談した結果、虐待している当該者から、“2度としません”と確約が得られたために、'14年になってそれを解除しました」
個人情報の問題で“当該者”について誰かは話せない、とのことだった。その後、一家はしばらく落ち着いたように見えた。だが4年前、新しい夫との間に娘が生まれると、思春期を迎えていた心桜さんに異変が起こる。