心桜さんは中学校の3年間、ずっと不登校だった
「彼女は中学校の3年間、ずっと不登校でしたね。一応、卒業はさせてもらえたんだけど、卒業アルバムにも載ってない。高校にも行かなかった」(中学校の同級生)
児相にも、連絡が入っていたという。前出の社会部記者によると、
「'18年10月、A子さんから“娘の非行について、相談にのってほしい”と連絡があったそうです。だが、翌月には“もう大丈夫ですから、相談をとり下げます”と」
A子さん一家にいったい何が起こっていたのか。近所の住人も、首をかしげて話す。
「A子さんはいつも赤い車を運転していて、助手席には旦那さんや下のお子さんを乗せていました。すれ違うときは、きちんと挨拶する礼儀正しい人でね。よくスーパーでも見かけました。とても仲睦まじい親子に見えましたよ」
ただ、A子さんと心桜さんが一緒にいるのを見たことは一度もなかったという。
『和歌山毒物カレー事件』の現場となった和歌山市園部は、23年前の当時とは打って変わってコンビニやドラッグストアが立ち並び、狭かった道路も道幅が広くなり、整備されている。現場近くの住民は、涙を浮かべながら話す。
「眞須美死刑囚の子どもたちに何も罪はないから。施設で育って、やっと幸せをつかんだのに、最愛の娘を失ったら、死にたくもなるやろ。なんて不幸な人生やろなぁ……」
カレー事件の被害者の中には、心桜さんと同い年で亡くなった子、鳥居幸さんがいた。彼女は別の自治会の祭りに行く予定だったが、友人に付き合ってたまたま参加した同地区の祭り会場で犠牲になってしまう。幸さんの父親に今回の事件について伺うと、
「そうですか……。また、あの忌まわしい事件を思い出してしまいますね。私の娘も生きていれば、もう40歳近くになりますね……」
眞須美死刑囚が孫に名づけた“心桜”は過去に『女の子の名前ランキング』で1位になるほど、大人気のキラキラネーム。“桜のようにみんなから愛される優しい子になってほしい”などといった願いが込められた名前だ。
得体の知れない因果を感じさせる一連の事件。愛孫への思慕の念を踏みにじられた眞須美死刑囚は今、絶望の淵に立っている。