一方、滝川も妻となり母となったことをイメチェンに活かせていない。今回の「車内放置」報道はむしろマイナスだし、フリーアナとしてのスタンスも曖昧だ。唯一のレギュラーである『教えてもらう前と後』(TBS系)でも今ひとつ元気がなく、お笑い芸人が目立つ番組だからか、お飾りっぽい存在になってしまっている。キャリアを重ねた女性芸能人としては、
それでも、五輪が昨年、通常どおりに行われていたら、状況は違っただろう。あの「おもてなし」映像も盛んに流され、出産直後の滝川もあちこちに呼ばれていたはず。進次郎の失速だって、これほどではなかったかもしれない。
しかし、五輪は今年に延期となり、1か月前になってもまだ、迷走している感が否めない。ネットでは、五輪招致自体が「貧乏くじ」だったという見方も。滝川がふりまいたセレブで華やかな雰囲気も台無しになってしまった。
この8年間で、夫婦はそろって「持ってる」感を失い、国民は未来の総理&ファーストレディー候補にちょっと幻滅しかけている。そして、令和という新時代を明るく彩るはずだった五輪まで、夢見ていたかたちではなくなりつつあるのだ。
コロナ禍のせいとはいえ、踏んだり蹴ったりの今の日本。希望の象徴だった滝川と進次郎には何か明るい話題を提供してほしいものだ。この際、一家三人で「おもてなし」ポーズを披露する、というのもアリかもしれない。
PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。