10年ほど前に練馬区の都立高校を卒業した元生徒は、
「入学当時、うちの高校は“生徒の自主性と自由”が伝統でした。私服が認められ、髪を染めるのも自由だった」
しかしあまりに自由すぎて、学校は荒れていたという。
「生徒の髪の色はピンクや緑などバラエティー豊か。
全校朝礼のときには不良生徒が壇上に上がって校長を追放し、乗っ取るなんてことが平然と起きていた」(元生徒、以下同)
生徒になめられ続ける教師の側にも責任があるが、教師からは“自由の意味をはき違えている”という意見が噴出。
「結局、3年生のときに校則が厳しくなり、制服着用が義務に。髪染め禁止なども徹底されました」
生徒を過剰に縛りつける前時代的な考え方
ここまでひどい高校はまれかもしれないが、問題のある生徒と個別に向き合わず、一律に取り締まるやり方が正しいといえるのだろうか……。
この「ブラック校則」が問題化する中で、文部科学省は6月8日、全国の教育委員会に対し、校則の見直しに関する文書を出した。
文書では社会の常識などを踏まえて「(校則は)絶えず積極的に見直さなければなりません」と呼びかけたのだ。
「教育現場では今も、校則で生徒を縛るべきだという声のほうが大きいのが現状です。しかし中には時代に合わせて変えていこうという教師もいるので、声を上げやすくするような世論をつくっていくことが重要だと思います」(前出・内田さん)
生徒を過剰に縛りつける前時代的な考え方が、下着の色柄規定のようなハラスメントにもなりかねない校則を今も許してしまっている。
なぜその校則が必要なのか、学校側は向き合って、改善していく努力が必要だろう。