学園モノの優等生へシフト

「ジャニーズの人気タレントが出演するとなると、どうしても彼らがメインになってしまいます。たとえばカラーギャングの抗争を描いた、長瀬智也主演のテレビドラマ『池袋ウエストゲートパーク』は、ジャニーズが主役でも、主役を喰わない程度の強烈な個性を放つ窪塚洋介を持ってきて、うまくバランスを保っていました。『ごくせん』シリーズもそうです。でもその後、共演した若手俳優たちが次々とブレイクしたため、ほかの事務所のポープとの横並び出演を避けていったように思います」

 しかし昨今は時代の流れもあり、不良モノで多数の若手俳優が出演する作品の場合、ジャニーズが出演することは減っているという。そこには「ジャニーズが出ているから」という理由で、避ける視聴者層が存在すると指摘する。

「昔からテレビドラマや映画には、“ジャニドラ”“ジャニ枠”という言葉がありましたが、それがより特異なポジションになってしまった。この10年で、日テレの深夜に放送される“シンドラ”枠や、テレ東はジャニーズドラマ専門枠を設け、彼らが主演のドラマを制作・放送しています。しかし、いい作品だとしてもジャニーズに興味がない層はほとんど見ないという状況を生んでいます」(同前)

 一方、ジャニーズファンたちはそれらの作品を当然、見ているわけだが「ほかの若手俳優が出演する作品も普通に見ているため、そちらの認知度はますます高まっている」という現象が起きているという。

 ヒットし続けているガチな不良モノ映画に、ジャニーズへのお声がけがないのか、お断りしているのかは不明だが、近年のジャニーズのヤンキー要素が入った役柄は減っている。どちらかというと“学園モノ”に出演するほうが多い、というのは前出の関係者。

「学園モノで、ちょっと不良ぽい役だったり、やんちゃな役どころはありますが、それよりも王子様系、優等生系の役がウケています。嵐を筆頭に“おぼっちゃま”感を持つタレントや、高学歴の子も増え、不良よりも優等生のイメージのほうが強くなってきている印象です。」

 時代の流れ、役者のイメージ、そして原作、さまざまな戦略が絡み合うエンタメの世界。ガチな不良モノは人気若手俳優に、学園モノの優等生はジャニーズが、ヒットの要因か!?

〈取材・文/渋谷恭太郎〉