「6年くらい前から、幸せそうな女性を見ると殺してやりたいと思っていた」
小田急線の車内で6日、乗客の男女10人を切りつけるなどして殺人未遂の容疑で逮捕された自称・派遣社員の対馬悠介容疑者(36)。
その犯行動機は、女性蔑視に満ちている。容疑者は「勝ち組っぽい女性を見つけ狙った。相手は誰でも良かった」などと供述しており、無差別での犯行だった。
「逮捕された対馬容疑者は青森県の出身です。中央大学理工学部に入学するも、中退。その後は派遣労働などを転々とし、次第に学生時代の友人とも疎遠になっていたようです」(テレビ局記者)
犯行の直前には新宿区内の食料品店で万引きもしていた。しかし女性店員に発見され、警察ざたに。一方的に恨みを募らせた容疑者は一時、店員の殺害を決意するも、店が閉まっていたため、急遽、電車内での無差別殺人を企てた。
犯行では乗客を包丁で切りつけたほか、サラダ油を車内に撒き散らしてライターで発火させることを試みたが、ライターの火力では燃えることはなかった。
殺人未遂での刑の相場は懲役5~7年
無差別殺人未遂という、社会を不安と恐怖のドン底に突き落とした容疑者の身勝手な犯行。今後、どれほどの罪を背負うことになるのか。元検事でフォートレス法律事務所の田中良弁護士に聞いた。
「今回、容疑者は殺人未遂で逮捕されています。一般的に殺人未遂での刑の相場は、懲役5~7年ほど。しかし、今回の事件はもっと重い罪を下されるかもしれません」(以下、田中弁護士)
その理由とは。
「容疑者には酌量の余地がなく、被害者にも落ち度がない。さらに逃げ場のない公共機関での犯行であり、社会的影響力の高さからしても、負うべき責任は重いと言えるでしょう」
今後、殺人未遂として起訴される際の被害者の数とそれぞれの怪我の程度が量刑を決めるポイントになるという。
「重傷を負った20代女性の件は起訴されるでしょうが、その他の被害者が負った被害について、何人分が起訴されるか。怪我の程度にもよりますが、かすり傷程度の場合は、検察が起訴しないケースもあります」
起訴される人数が少なければ、その分、求刑が軽くなることも考えられるという。これほど大きな事件を犯して短い刑期で出所するとなれば、多くの人が不安に思うはずだが……。
「しかし、もし1人分の被害しか起訴されなくても、求刑が殺人未遂の相場である7~8年を下回ることはないでしょう」