「新型コロナ当初は都心から郊外に引っ越す風潮もありました。ですが今は逆。広い家やリモート用の部屋を求めるよりも便利な立地を求める人が増えているんです」

 理由のひとつが家事や買い物。郊外の古民家で仕事をしながら田舎暮らしを希望する動きもみられたが、実はあまり現実的ではないという。

「緊急事態宣言で外食ができないため、自宅で料理をする時間も増え、家事の時間が長くなっています。お店も近くになく買い物がしにくい地域は主婦目線で見るとマイナスです」

オリンピック・パラリンピック選手村。再び販売が始まるが、オリンピック効果もあり、人気は急上昇しているという
オリンピック・パラリンピック選手村。再び販売が始まるが、オリンピック効果もあり、人気は急上昇しているという
【写真】表で見る全国・首都圏・関西の「住みたい街」ランキング2021

インバウンド効果が大きかった、浅草

 利便性は悪くても買い物しやすいエリアも注目される。

「武蔵野線、横浜線、南武線沿線です。都心に直結しないので以前はそんなに人気がなかったんですが、物件の値段も安く沿線に大型商業施設もあって買い物にも便利」

 一方で急下降しているエリアもあるという。

「寂れてきた地域やインバウンド効果が大きかった場所です。具体的にいうと浅草」

 コロナ前までは外国人観光客も多く訪れ活気があり、その余波は住宅地にまで広がっていた。だが、観光客が来なくなり、街は寂れるいっぽう。そうなると物件の値段は下がるというのだ。

「コロナが落ち着けば再びインバウンドが期待できます。価格も復活するでしょう。水害のあった武蔵小杉も実際には値段は下がっていません。災害が起き、さまざまなことを言われたとしても街の魅力は衰えないんですよ

 櫻井さんいわく、これからは都心や駅に近いことよりも商業施設や公園があり、生活しやすい場所が求められているという。特にこうした場所のマンションは将来的にも価値は下がらないとみられるので、不便な場所に住んでいるシニア層は住み替えを検討するのも一案。

「住まいを変えることで生活がずっと快適で楽しくなります。どこでもその土地ならではの魅力がありますしね」

 将来のことを家族と話し合い、自分のライフスタイルに合わせて探してみては。