10月29日、大泉洋川口春奈、和久田麻由子アナが『第72回紅白歌合戦』の司会を務めることが発表された。世界ではスタンダードになりつつある“多様性を認めること”や“社会的な課題への取り組み”が、大みそかの風物詩にも反映され始めているようで―。

 10月29日、大みそかの風物詩『紅白歌合戦』の司会者が発表され話題を呼んでいる。

「総合司会者に加えて、『紅組』と『白組』の司会がいるのが恒例でしたが、今年は大泉洋さん、川口春奈さん、NHKの和久田麻由子アナの3人が“司会”という形に。多様性を認める時代の流れを反映したもので、紅白歌合戦のあり方についての意見が交わされています」(スポーツ紙記者)

 これまでは女性歌手が『紅組』、男性歌手が『白組』と性別でチーム分けをしていたが、今年は大胆な演出がささやかれている。

司会者を組分けしなかったことからもわかるとおり、局内でも“LGBTQなどの観点から、性別で分けるのは時代の流れにそぐわないのでは?”という声が出ています。従来のチーム分けの方法や演出を根本から変える案も出ていますよ」(NHK関係者)

ジャニーズと乃木坂が“同じチーム”に?

 '06年にはトランスジェンダー(生まれたときの身体性別が、自身の性自認と異なる人々)を公表したシンガー・ソングライターの中村中が『紅組』で出演したこともあった。

「ステージ衣装は真っ赤なドレスに白い羽のようなデザインを少し入れたものでした。この衣装について、“衣装で(トランスジェンダーを)説明しなくてはいけないことが気持ち悪いと思っていた”と紅白後のインタビューで明かしていました」(音楽ライター)

 日経BP総合研究所・上席研究員の品田英雄さんもこう指摘する。

「LGBTQへの理解が深まっている今、性別でチーム分けしたり、勝ち負けを決めたりするのは、昭和の価値観を引きずっていると思われても仕方ありません」

 以前から男女で編成されたグループをどちらの組で出場させるかといった問題もあっただけに、チーム分けの方法もガラリと変わる可能性が。

“ヤングとシニア”“出身地で東西に分ける”といった方法は、選出される歌手のバランスもあるので難しいかもしれません。考えられるのは男性と女性を五十音順で振り分ける方法でしょうね。ジャニーズと乃木坂46が同じチームになったり、ジャニーズもグループによっては別のチームに……という可能性もありえると思います」(エンタメ事情に詳しいフリーライターの大塚ナギサさん)

 ジェンダー平等のほか、貧困や環境問題などの社会的課題を解決する取り組みSDGs(持続可能な開発目標)への意識も高まっているが、品田さんは紅白の演出にも反映されるのでは?と語る。

「SDGsへの関心の高まりもあり、社会的意義や社会への貢献が問われる1年となりました。視聴者的にはインパクトに欠けるかもしれませんが、SDGsを意識した演出がハマれば、紅白の目玉の1つになりうるのでは」