深夜になるとオオカミに豹変し
犯行が発覚したのは今年9月、被害少女の話が人づてに別の職員の耳に入ったからだ。同センターの関係者によると、すぐに被害少女と浅野容疑者の双方に事実確認をしたところ、いずれもこれを否定したという。
「特に浅野容疑者はきっぱりと否定していました。情報の真偽がわからない中、10月1日に突如として“じつは疑われた内容は事実でした”と自ら話してきたんです。なぜ打ち明けたのかはわかりません。その日のうちに警察に通報しました」
と同センターの関係者。
県は、犯行を始めたとされる今年5月以降に容疑者とかかわったとみられる子ども約80人に被害がないか調査したところ、ほかに被害の申し出はなかったという。
ところが、読売テレビの報道によると、別の入所少女が容疑者に押し倒される被害に遭ったと証言。わいせつ行為を受けそうになったとする新情報が出てきた。
《急に上に乗っかってきて、それで『こんなことが好きなんやろ』と問いかけてきたこともあって、ちょっとこういう人はおかしいんかな》(読売テレビの取材に応じた入所少女の話)
県は警察と情報を共有するとともに、容疑者が指導員を始めた昨年11月までさかのぼって追加調査を検討している。
県政関係者はこう明かす。
「容疑者は6年前の7月、隣接する奈良県生駒市の路上で帰宅途中の当時22歳のアルバイト女性に背後からわいせつ目的で近づき、頭を両手でつかんで押し倒すなどした暴行容疑で逮捕されている。逮捕後に余罪も発覚。やはり路上で当時47歳の会社員女性の背後から手で口をふさぎ“騒ぐな。殺すぞ”と脅迫したわいせつ未遂で再逮捕された。容疑者は当時会社員で、いずれも深夜0時前後の犯行だった。女性に抱きつきたかったようだ」
羊のように穏やかに見えて、深夜になるとオオカミに豹変する本性をなぜ見抜けなかったのか。
「採用時に逮捕歴はわかりません。本人からの申告もない。欠格事由になるのは、禁錮以上の刑を受けてその執行を終えていない場合などに限られますから」(前出のセンター関係者)
入所中の子どもにとって、容疑者は“先生”の立場にあったといえる。
学校の教職員については、児童・生徒にわいせつな行為をして懲戒免職になった教員の免許再取得を防ぐ「わいせつ教員防止法案」が今年5月に成立。1年以内にこうした教員の前歴がわかるデータベースが整備され、教員採用時に活用して拒めるようになる。
力関係で子どもたちの上位に立つのは、児童相談所職員も同じだろう。
同法の付帯決議は、教職員と同様に児童・生徒と日常的に接する職種や役割に就く場合、採用する側が公的機関に照会して性犯罪の前科などがないことの証明を求める仕組みの検討を求めている。
保育士のほか、部活動の外部コーチやベビーシッター、塾講師など免許の必要ない職種も同じ。子どもを助ける立場の人間が、力関係を利用して子どもを傷付けることなどあってはならない。