優しくされたいけど、顔が……!?
続く第4位は、産婦人科を舞台とした『コウノドリ』の鴻鳥サクラ(綾野剛)。合理的でクールな四宮春樹(星野源)とともに命の尊さを描く。
「言葉でなく、1日中そばでピアノを弾いて癒してほしい」(神奈川県・45歳会社員)
「鴻鳥先生に優しくされたいけど、顔が綾野剛……。妊娠についていろいろなことを話すのが、恥ずかしくなるかも」(大阪府・46歳主婦)
吉田さんは、「過去のトラウマ体験によって現実的なことしか言わない星野源の役どころは、とても共感できた」と話す。
「産婦人科は不妊治療など、精神的にデリケートな領域を扱う。必要以上に温かい言葉を投げかけられるよりも、現実的なアドバイスをくれるほうが重くならないと、女性である私自身思います。また、産科医療のシビアな現実を、きちんと患者に伝えようとする描写も好感が持てた」(吉田さん)
実際の医療現場では、「絶対」、「完治する」といった言葉は使われない。万が一の際、言質を取られないためだ。裏を返せば、ドラマだからこそ「100%」、「絶対に」といった言葉が飛び交うわけだが、「それでもそういった言葉を使わない『コウノドリ』のリアルな世界が支持を集めたのではないか」と吉田さんは分析する。
可もなく不可もなくでもいい? 求ム! 未来人の医者
TOP5、その最後に滑り込んだのは、医療ドラマと言っていいか迷うところではあるが、『JIN―仁―』の南方仁(大沢たかお)。
「南方に“僕が支えますから”なんて優しく言われたい」(兵庫県・75歳主婦)
「南方さんに“僕も全力で闘いますから。あなたも全力で”なんて言われたら……。キュンキュンしちゃいます」(愛知県・40歳主婦)
ドラマの中では坂本龍馬ですら心酔してしまうのだから、読者が魅(み)せられてしまうのも仕方がない。限られた資材や情報だけで応用してしまうアイデア力は目を見張る反面、吉田さんが「江戸時代では名医かもしれないけど、現代では普通レベルの医者かもしれない」というように、実はどの程度の実力の持ち主なのかは不明だったりする。
おまけに、原因不明の頭痛持ちでもあるため、診察中あるいは手術中に突然、「ウウゥゥ!」などと倒れ込まれたら厄介だ。人柄は申し分なしだが、瑕疵(かし)がないとは言い切れない。
だが、「南方仁のような未来人の医者がいたらなぁ」と吉田さんは妄想を働かす。
「例えば、今から200年後の世界から医者がタイムスリップしたとします。可もなく不可もなくの腕前でも、新型コロナウイルスに何が効くかは知っているだろうし、がんの治癒法も知っているかもしれない。そういう意味では、南方仁のような医者がいたら……」(吉田さん)
たしかに、未来人ならこのコロナ禍を鎮められるはず!