身近にある食品も肌トラブルの原因に
化粧品同士の混ぜ合わせ以外で特にトラブルが目立つのは、オロナインH軟膏と化粧品を混ぜて使用するケースだと豊田先生は指摘する。
「家庭によくある医薬品でニキビなどに使用する人も多いようですが、オロナインはそもそも消毒用軟膏。湿疹や化粧下地には使用しないでくださいと説明書にも明記されています。
ところが“ニキビ予防のつもりで化粧下地に混ぜました”といった患者さんもいて、殺菌作用で皮膚の常在菌のバランスが崩れて肌トラブルにつながっているケースも多いです」
ほかにも、食品と化粧品を混ぜ合わせる美容テクにも注意が必要だ。砂糖を洗顔料に混ぜてみたり、ハチミツやレモン汁、豆乳などで化粧水を自作する方法もよく見かける美容法のひとつだが……。
「ハチミツの殺菌成分や大豆イソフラボンの美白効果など、食品の効用としてそういったデータがあることは知られています。ただ、直接肌に使用して同様の効果が得られるかは疑問です。
むしろ、近年の研究では皮膚を通して食物アレルギーが起こる『経皮感作』という現象があることもわかっていて、危険を伴う行為といえます」
よりよい効果を求めるあまり、つい何かをブレンドしたい誘惑に駆られるが「混ぜるな危険」は化粧品にもいえること。シンプルに使うことこそベストなのかもしれない。
お話を伺ったのは……豊田雅彦先生●医学博士、皮膚科専門医、アレルギー専門医、うるおい皮ふ科クリニック(千葉県松戸市)院長。著書は『図解で解決! 頑固なかゆみもアトピーも1分肌活で必ずよくなる』(三笠書房)など。
(取材・文/吉信 武)