母のレシピを受け継ぐ
好きが高じて調理師免許まで取ってしまったという財前さんの母。膨大なレシピはすべて彼女の頭の中にある。
いま、財前さんはそのレシピを習得しながら、ひとつひとつ手書きで書き残している。レパートリーはすでに80を超えた。ここで彼女がよく人におすすめするレシピを紹介する。
「果物をたくさんいただいたら、瓶に氷砂糖と一緒に入れるんです。自然にジュースができて長持ちします。さらに、果実を取り出して加熱するとジャムにもなるので、ムダがありません。この時期はミカンをもらうことが多いので、皮をむいて氷砂糖と一緒に漬けています」
“当たり前”に気づく
季節の食材を食べることは“食べる薬”だと気づいた、と財前さん。大自然の恵みの効果か、実際、財前家では風邪ひとつひかないそうだ。
ときに大量の野菜との格闘で、延々と大根を切り続けていたりすると、「私、何やってるんだろうって思うこともあります」と笑う。
ただ、そんな「無」になれる時間も、財前さんにとって大切なひとときだ。
昨今はコロナ禍で田舎暮らしや2拠点生活が注目を浴びている。財前さんにとって田舎暮らしとは――。
「交通の便などは不便ですが、では便利な東京がいいのかというと必ずしもそうではないと思います。人それぞれ価値観は違うと思いますが、私にとっての田舎とは、自分がいていちばんラクな場所、心が安らげる場所です。
いまは仕事があるときに上京しているので、田舎があると女優業と主婦業のオンとオフが切り替えられるのもいいところです。
とはいえ、田舎暮らしは大変は大変。何と言っても草が生えます(笑)。毎日草刈りしているイメージ!でも、そんな大変さがあっても移住したいと思えるような、そんな場所が見つかったらそれに越したことはないですね」
終始、飾らない笑顔で大分からリモート取材に応じてくれた財前さん。その姿に、大分での穏やかな日々が垣間見えた。