そんな木村のこれまでの作品について、カトリーヌさんはこう分析する。

「木村さんは『あすなろ白書』でブレイクして以来、当時の女子の夢の具現化みたいな存在でした。『ロングバケーション』のピアニスト、『ビューティフルライフ』('00年、TBS系)のカリスマ美容師というようなラブストーリーにおける王子様の役割ですね。

 ただ、'00年代に入ると王子様から一線を引き、さまざまな職業を演じていきます。『HERO』の検事、『GOOD LUCK!!』('03年、TBS系)のパイロット、『プライド』('04年、フジテレビ系)のアイスホッケー選手、『エンジン』('05年、フジテレビ系)のカーレーサー、'08年の『CHANGE』(フジテレビ系)ではついに総理大臣にまで上り詰めちゃった(笑)。

 当時はどんなドラマを作るかではなく、キムタクにどんな職業をやらせたら面白いかという視点で企画が考えられていたような気がします。というのも木村拓哉という役者が、平成以降唯一のスター俳優だったからなんです。何を演じてもキムタクと揶揄されることも多いですが、それってスターの証でもあるわけですよ。

 石原裕次郎さんしかり高倉健さんしかり、往年のスターというのは役よりもその人自身の個性が色濃く出ていました。だからといって何をやっても石原裕次郎だと非難されることはなかったじゃないですか。平成以降、そういう役者は木村さんしかいなかったから目立つだけで、スターというのは本来そういうものだと思います」

中居のシリアスな演技にギャップ

 本人いわく演技は苦手ということで、最近はドラマで見かけることはほとんどなくなってしまったが中居も'90~'00年代は主演俳優として活躍。

中居正広主演ドラマ『白い影』('01年、TBS系)
中居正広主演ドラマ『白い影』('01年、TBS系)

 第1位となったのは中居が影のある外科医を演じた医療ドラマ『白い影』('01年、TBS系)。「中居くんがシリアスな演技をしていて、バラエティーとのギャップにキュンときた」(56歳・滋賀)、「中居くんの演技もストーリーも最高でした」(43歳・東京)。

 第2位は、サヴァン症候群という特殊な能力を持ったチョコザイを演じた『ATARU』('12年、TBS系)。「中居くんの演技力に衝撃を受けた」(49歳・東京)、「どのドラマも好きだけど、中居くんチョコザイがめっちゃかわいかった」(55歳・富山)。

 第3位は『砂の器』('04年、TBS系)。天才ピアニストの和賀に扮し、ある宿命を背負った男の悲しみを描く松本清張の同名小説を現代風にアレンジしドラマ化。「普段なかなか見ることができない中居くんの真剣な表情がよかった」(42歳・青森)。

「初期の木村さんが少女漫画なら、中居さんは少年・青年漫画の主人公というイメージがあります。『味いちもんめ』('95年ほか、テレビ朝日系)の料理人にしても『ナニワ金融道』('96年ほか、フジテレビ系)の取り立て屋にしても、男の世界のなかの下っ端というか後輩キャラで、そういう男くさい世界が似合っていました。

 ただ、TBSだけが中居さんに宿題を出すんですよ。『白い影』や『砂の器』という名作のリメイクで、田宮二郎さんや田村正和さんが演じていた役を振ったり、北川悦吏子さん脚本の『最後の恋』という王道中の王道のラブストーリーで、恋愛に対しては特にシャイな中居さんに、常盤貴子さんと海の中で抱き合ってキスするみたいなことをさせる。TBSの主演ドラマを見ると、中居さん、頑張ってるなぁって(笑)。

 そんな中でも特におすすめは『ATARU』です。チョコザイという特異な記憶力を持つサヴァン症候群の青年を演じていたのですが、中居さん自身の猪口才な感じがよく出ていたハマり役でした。SMAPのコンサートでこのキャラクターに扮するくらいご本人もお気に入りの役で、内容も謎の闇組織が出てきたりと中二病的要素が満載。すごく遊び心のある楽しいドラマなので、未見の方はぜひ見ていただきたいです」(カトリーヌさん、以下同)