仕事が忙しければ、ゲーム漬けにもならなかっただろうが、若さが武器のアイドルにとって中年以降も第一線で居続けるのは難しい。そこで、バラエティーや時代劇のレギュラーのような地味だが安定した居場所を探したり、芸能人同士の結婚などでつながりをつくったりする。
植草の場合、ドラマで刑事役をやったり、橋田壽賀子ファミリーに入ったりした。特に、30年近くも続いた『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)への出演は有効で、このおかげで生き延びたともいえる。
その役柄は、大病院の跡取りでマザコンの医師。これがなかなかのハマり役だったのは、本人の素に近かったからだろう。
甘え上手な植草はまさにアイドル
というのも、彼は昔から甘えん坊キャラで有名だった。不倫相手が2人とも会社社長というのは、今も甘え上手なのではという気がしてくる。また、こういうタイプの男性はえてして、子どもができると、妻以外に甘えられる女性を求めるようになりがちだ。
もちろん、甘え上手なのはアイドル的にチャームポイント。そこが橋田にも可愛がられ、今も根強いファンから愛されるゆえんだ。
ただ、55歳の男性としてはちょっときついものが。その点、東山は報道ワイドの司会などで大人の芸風もこなしているし、錦織もファンに向かって「老いさらばえていく」姿を「楽しんで」と発言したりしている。
そんななか、若者が初体験に利用するようなホテルで不倫。植草だけは「少年」のままのようだ。ある意味、彼だけがグループ名『少年隊』を、今も体現し続けているのかもしれない。
宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)