「バニラアイスといえば青系パッケージ」の立役者

 アイスの代表格として思い浮かぶフレーバー(味)はやはりバニラ。日本のバニラアイスの定番イメージをつくりあげた立役者が『バニラブルー』である。

「1953年の前身商品発売以降、世代を超えて愛されてきた“ザ・日本のバニラ”です。バニラアイスのパッケージは青系のものが主流ですが、そのイメージのルーツは『バニラブルー』だといっても過言ではありません。

 発売当初は紙製の落としぶたがのった丸いカップに入っていて、ふたについたアイスをこそげ取りながら食べるというのも、楽しみ方のひとつでした」

 バニラアイスでも、高級路線の商品として人気を博したのが『リーベンデール』だ。

「ドイツ語で“愛する人”という意味の『リーベンデール』は、北海道産の乳原料を使うといったこだわりの商品でした。1980年代は高級バニラアイスの競争も激しく、1984年にはハーゲンダッツなどの外国ブランドも日本に上陸してきました。そのなかでも洗練された白いパッケージと繊細な味わいを誇る『リーベンデール』はひときわ目立つ存在だったと思います」

 アイスが高級化する一方、昭和のラクトアイスの草分け的存在ともいえるのが、ロッテの『イタリアーノ』だ。

「アイスは含まれる乳固形分や乳脂肪分の違いによって“アイスクリーム”“アイスミルク”“ラクトアイス”に分けられます。そのなかでも植物油脂を使ったラクトアイスの世界を開拓したのが『イタリアーノ』。安価ながらも高い満足感が得られる味わいを表現していて、ガム製造などで香料のノウハウを持つ“フレーバーの魔術師”ともいえるロッテならではの商品です」

 バニラと双璧をなすアイスの人気フレーバーといえば、チョコレート。そのチョコレートをアイスで包んだ人気商品が『キャデリーヌ』だ。

「ミルクアイスでチョコをコーティングするという、当時としては新感覚の味わいでした。セミスイート、マイルドの2タイプに加え、ストレート、コニャックレーズン、アーモンドなどのラインナップも増えました。現在はホームユースの『キャデリーヌ マルチ』のみ販売されています。当時のアイスパッケージには値段が大きく表記されていたのも、懐かしいですね」

 アイスにはチョコ以外にもさまざまなものが包まれてきた。なかでも、シズリーナ荒井さんにとって衝撃的だったのが『グミキャンバー』だ。

『グミキャンバー』
『グミキャンバー』

「アイスキャンディーの中にかためのゼリーのようなグミが入った、独特な食感が楽しめる商品です。幼少期に食べてすごくハマった記憶があります。

 アイスキャンディー部分は果汁50%と、フルーティーな味わいが魅力で、ぜひいつか復刻してほしいと願うアイスのひとつです」

 シズリーナ荒井さんにとって、グミ入りアイスに勝るとも劣らない強烈な印象を残したのが『ソーダコング』だという。

「チョコレートをソーダアイスで包み、さらにソーダ味のアイスキャンディーでコーティングするという3層構造のアイスバーです。チョコレートとソーダの組み合わせというのはなかなか想像できないと思いますが、その斬新すぎる味わいがクセになるアイスでした。ポップなゴリラのキャラクターにも子ども心をガッチリつかまれましたね」

 数々の商品が生まれては消えていった日本のアイス史。現在ではほぼ毎週のように新商品が発売されている。

「実は流通の関係で、アイスの新商品が市場に出る曜日がほぼ決まっています。スーパーでは月曜、コンビニでは火曜に新商品が並ぶことが多いので、ぜひチェックしてみてください」

 毎週火曜日は雑誌棚の『週刊女性』と一緒に、コンビニの新商品アイスにもご注目を。