トラブルで生きる気力をなくして
――毎晩のように豪遊していたために貯蓄も無く、借金もみるみるうちにふくらんでいった20代が過ぎ、30代になってからは生活設計を見直していったそうですね。何をきっかけに、数百万円も抱えていた借金を整理しようと思ったんでしょうか?
崎本:身の回りで、あるトラブルを抱えて一時的に生きる気力をなくしたのが一番の理由だったと思います。まあ、詳細はお伝えできませんが“人間関係のすれ違い”を理由とした出来事があったんですけど、ケガの功名というか、その頃に「ゼロから人生をやり直そう」と思ったんです。
結局、どれほど借金があったのか厳密な金額は分からないほどでしたけど、初めは家族や知人にお金を借りて、リボ払いの残高を精算しましたね。というより、クレジットカードも限度額まで借りていて更新できないとなってしまったので、差し押さえになったらまずいので、周りからお金を借りて返済しました。
その後、俳優の活動をやりながら、知り合いの会社で働かせてもらえることになって。人生で初めて従業員となったのを境に、真剣にお金と向き合うようになったんです。日々の収入や支出も見直すようになって、32歳で家族や知人への借金も完済しました。
――ここまで半生を聞いてきて思ったのは、子役出身で大人になってから“身を持ち崩す”芸能人の方も少なくないなかで、崎本さんはそうではなかったのだろうと。
崎本:同世代には売れつづけている子もたくさんいるし、そういったイメージは必ずしも当てはまらないんじゃないでしょうか。よく聞く話では、そういった人がいるのも分かりますけどね。そうなってしまうのはお金が理由ではなくて、幼い頃から大人の世界を見ているからだろうとは思います。同世代の子たちとは違う世界で生きるから、勘違いしやすいのかなとは思いますね。
――なるほど。そこは人間性の部分も大きいのかもしれませんね。さて、大筋の話に戻りたいのですが、著書では、小学校での金融教育が必修化された世相もふまえて“マネーリテラシー”の大切さを訴えています。そこで最後に、子育て世代の読者に向けてメッセージをお願いします。
崎本:親御さんは限られた額のお金を「どう計画的に使うべきか」と、子どもたちに教えてほしいです。ただ、子どもたちに教えるなら、大人側も正しい知識を持っていなければいけません。お金に関する情報はネットをはじめ、いろいろな場所で目にすると思いますが、「稼げる」とか「お得」と言われる情報に振り回されない心がまえと、正しい知識も必要だと思います。
<取材・文/カネコシュウヘイ>