代理ミュンヒハウゼン症候群とは、いったいどのようなものなのか。児童虐待や犯罪学に詳しい南部さおり・日本体育大学教授はこう説明する。
「77年に小児科医が発表した虐待の一種。子どもに対する複雑な虐待で、人格障害などがベースにある人もいれば、精神的な問題のない人もいます。虐待で何らかの精神的な満足を得るとされていて、子どもに危害を加えて医療者には虚偽の報告をしてバレないように細工する知性があり、冷静沈着に行動することもできます」
この特徴からも“代理ミュンヒハウゼン症候群は精神疾患ではない”と南部教授は断言。
「刑事責任は問われてしかるべきです。今回は、突発的に雄大くんを殺害した上で、自分が疑われないために救急車を呼び、病死を装っていると考えられます」(南部教授)
容疑者と同居の男性と交流があった冒頭の知人男性は雄大くんについて、
「雄大は人見知りでね。最初はこちらが挨拶しても返事してくれなかったけど、お母さんに“ちゃんと挨拶しなさい”と言われて、小さな声で“こんにちは”って」
児相の施設から2年半ぶりに戻ったころには、
「雄大がまだ生まれたばっかりの三男(第4子)をベビーカーに乗せて押していたのよ。どこの親子とも変わらない光景だったんだけど」(知人男性、以下同)
女房のことを信じている
雄大くんの父親である同居の男性は、今も容疑者と住んでいたアパートに籠もり、報道陣に沈黙を保っている。
「“女房(容疑者)のことを信じている”と言っていた。“3年前の事件を今になって逮捕するのはおかしい”と警察に不信感を抱いているよ」
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事件の真実はどこにあるのか。いま確かなのは、幼く尊い命が消えたことだけだ。
南部さおり教授 日本体育大学スポーツ文化学部武道教育学科教授・医学博士。専門分野は法医学・刑事法学・スポーツ危機管理学。児童虐待に関する著書もある