世に出るために、と割り切った芸人も多かった
若手を発掘する方法が変わったのも大きいようだ。
「かつてパンサーが“出待ち率ナンバーワン”という紹介で番組に出る機会を増やしたように、以前は劇場で人気の若手やインパクトのある芸人を起用するケースが多かった。でもコロナ禍以降は劇場も無観客での開催になったり、出待ちが禁止されるようになったので、最近はYouTubeやショート動画アプリのTikTokでバズっている芸人や、『M-1グランプリ』など賞レースの予選で新しい芸人を探すようになりました」(テレビ局関係者)
外出自粛の影響でYouTubeやTikTokにネタを投稿する芸人が増加。とある中堅芸人は、動画でウケる傾向の違いをこう語る。
「『エンタの神様』などネタブームのころは、日本エレキテル連合のようなキャラクターやキャッチーなフレーズを持つ芸人、にゃんこスターのような音ネタなどが番組や舞台のオーディションに合格しやすかったので、世に出るためにと割り切って“一発屋”系のネタを作る芸人も少なくなかった。でもTikTokなどは、インパクトよりも“あるあるネタ”など、共感できるネタがバズる傾向にあるので、そういうネタを作る芸人が増えていますね」
エンタメ事情に詳しいフリーライターの大塚ナギサさんは、お笑いを見る視聴者やファンの変化を指摘する。
「『M-1』など賞レースのレベルが高くなったことで、視聴者やお笑いファンの目も肥えてきています。かつてはネタがイマイチでも、カッコよければ人気が出ることもありましたが、東京も大阪もライブシーンは面白さ至上主義になっていて、完成度の高いネタができないと舞台に上がることも難しい状況。キャラクターだけでは舞台でも賞レースでも通用しないため、キャラ芸で一発当てようという若手は減っている印象です」