「子どもにやさしくてノリがよく、教師という仕事に全身全霊で取り組んできた先生です。どんな不満があったにせよ、子どもに危害を加えるはずがなく、なぜこんなことをしたのかいまだに信じられません」
と児童の母親は呆然とした様子。
小学校給食のカレーに塩素系漂白剤を混入したとして16日に逮捕されたのは、埼玉県富士見市の市立水谷東小学校教諭の半澤彩奈容疑者(24)。児童が異臭に気づき、だれも口にしなかったため健康被害はなかったが、威力業務妨害の疑いが持たれている。
「給食の直前、廊下に置かれた配膳前のカレーの寸胴に漂白剤を入れた。狙ったのは半澤容疑者が3月まで担任を務めていたクラスだけ。学校側は全校児童の安否確認など通常業務以外の対応に追われることになった。これが業務妨害にあたると判断された」(全国紙社会部記者)
半澤容疑者は犯行動機について、
「クラス担任を続けさせてもらえず、悔しくてカレーに漂白剤を入れた」
などと容疑を認めている。
「事件前日にドラッグストアで購入した漂白剤約500ミリリットルをすべてカレーの寸胴に入れている。少し混入させたらブクブクと泡立ち、我に帰って、児童が混入に気づくよう全部入れたという旨の供述をしているようだ」(前出の記者)
2020年4月に教師になったばかりという3年目の若手。市教委によると、担任を変わったのは通常の人事異動にすぎず、何か問題があって外されたわけではないという。
減刑を求める嘆願書を集めよう
かつての受け持ち児童の保護者はこう話す。
「教師駆け出しから今の学校で4年生、5年生と担任を持ち上がったため、現6年生と卒業まで一緒に学校生活を送りたかったのではないでしょうか。そのくらい子どもたちといい関係を築いていましたし、保護者からも信頼されていたので担任を離れがたかった気持ちはわかるんです。容疑を認めていますし、子どもたちが食べないように気づきやすくしたといいますから、少しでも罪が軽くなるように“減刑を求める嘆願書を集めよう”という話が出ているほどです」
結果として児童は「カレーからプールの消毒のにおいがする!」と別の教師に報告し、直接的な健康被害を防ぐことができた。
市教委によると、当日の給食の献立は、カレー、麦ごはん、牛乳、焼きフランクフルト、コールスローサラダの全5品目。
「当該クラスには、ほかのクラスからや教職員のカレーを少しずつ集めて問題のないカレーを食べてもらいました。もともと、小学生ですから配膳のときなどにこぼすことがあるため、余るように多めの分量になっており、何かあればそうやって融通するんです」(市教委・学校教育課)
給食のカレーを楽しみにしていた児童のことを考えると、せめてもの救いだったかもしれない。