心の筋肉を鍛えて乗り越える

 身近な人々の死の悲しみを乗り越え、演出家として邁進し続ける宮本。来年1月で65歳を迎えるが、新しい挑戦への意欲は尽きない。

「コロナ禍を経験しましたが、今後も僕たちが想像もしていなかったような出来事が起きるでしょう。今と同じ生活が続いてほしいと願う気持ちはわかりますが、やはり唐突に変化はやってくる。だから僕はいくら変わっても大丈夫という、しなやかな枝のようでありたいし、舞台だけに限らず新しい挑戦をし続けたいと思っています

 憧れの職を手に入れ、名声を得た今でも慢心はない。

「演出という道具を使い、多くの人が笑顔になる様子を直接眺められるのは、筆舌に尽くし難い喜びがあります。心の筋肉を鍛えて、過去から時代を楽しく先読みして、どんな出来事でも乗り越えていけるような面白いものを作っていきたいですね。まだ生きているのですから

生きていることの価値”を、宮本亞門は知っている。