8歳の孫娘に見せて自慢しています
10年前にフリーになり、奥さんをマネージャーにして二人三脚で活動。2015年から夏目漱石の作品を題材にした『妄ソーセキ劇場』、その後は『妄ソー劇場』と銘打った一人芝居を公演している。
「フリーになる前は新作に追い立てられていましたが、今はゆっくりと時間をかけられる。自己規制がなくなり(気持ちが)楽になりました」
フリー後は思いつきで始めたという人形劇と紙芝居を自主制作し、ホームページやYouTubeで公開している。
「一人芝居の分身みたいなものです。樹脂粘土を使って人形を作り、ひとりで操作して撮影する。孫娘に見せて自慢しています」
まなじりを下げた照れ笑いは好々爺の素顔がのぞく。
8歳になる孫娘は小学校に入学してから一人芝居を見るようになり、『管理人』の観劇も楽しみにしている。
「孫は一人芝居の印象的なディテールを言います。それは批評であり、評価になっています」
この10年で手がけた人形や映像作品は『イッセー尾形一人芝居妄ソー劇場・すぺしゃるvol.4』(12月22日~有楽町朝日ホール)の会場で展示される。
古希になり、俳優人生は半世紀を迎えた。
「人生100年では足りない。時間が足りないと思っていても(生命の)時間は限られている。そのなかでやりたいことをやろうとして、やらないといけないのは無理難題なことです。一人芝居はモノローグ(独白)だが『管理人』はダイアローグ(対話)。挑戦になるし、対極の先を見極めて感じたいです」
出口が見えない芝居の幕が間もなく上がる。