目次
Page 1
ー ジャニーズは行くも地獄、戻るも地獄

 

 滝沢秀明氏の退社、King&Princeの分裂をめぐる内部事情を報じた週刊文春の記事《キンプリ滝沢秀明を壊した ジュリー社長の“冷血支配”》をめぐり、きな臭さが漂い始めている。

「電子版の文春オンラインが報じた翌日、編集部にはジャニーズから内容証明で抗議書が届いたそうです。同時にスポーツ紙がWEBニュースで報じたのは、法的措置も辞さないという強い姿勢。解禁時間は14時から放送の情報番組を意識し13時に設定され、WEBニュースで使われた写真はすべて社屋の外観。昔から、アーティストの写真が使えない場合は建物の写真というのが、“J報道”の基本です。事務所内部のガバメントは微妙ですが、テレビや新聞に対するガバメントは衰えていません」

 と話すのはスポーツ紙の元ジャニーズ担当記者だ。続けてこう明かす。

「これまで、文春は厳しい報道を続けてきましたが、ジャニーズ側が訴えるということは異例。ジャニー喜多川さんの性嗜好を報じた際は裁判になりましたが、それ以外にはなかった。ところが今回は違った。文春が虎の尾を踏んだという感じですね。ジュリー景子社長を悪者のように扱われるのは、ジャニーズ事務所としては看過できなかったというところです」

ジャニーズは行くも地獄、戻るも地獄

 ただ、実際に裁判になるかどうかは不確定な部分があるという。

 情報番組のデスクは否定的だ。次のように読み解く。

「文春サイドは、裁判になればまたいろいろと報じることができる。ジャニーズとしては、訴えることによって、敵に塩を贈ることになりますからなかなか踏ん切りは難しいと思いますよ。関係者を証人として呼ぶとなれば、それこそ文春の思うつぼ。ジャニーズにとっては行くも地獄戻るも地獄でしょうね

 法的措置も検討、というこぶしは上げたものの、法的措置へ、とまではいかない。そこが老舗芸能事務所の匙さじ加減といったところか。

 とは言え、週刊文春が指摘していたとおり、2019年7月に亡くなったジャニー喜多川さんの目利きの部分を引き継いだ滝沢氏が事務所を去り、アイドルの原石発掘に赤信号がともり始めたのは事実。そのあたりをどう乗り越えていくのか。前出・スポーツ紙元ジャニーズ担当記者に聞いた。

「ジャニーズアイランドの社長に元V6の井ノ原快彦がプレイングマネジャーとして就任した。TOKIOとV6は、ジュリーさんが手塩にかけたグループですので、思い入れも強い。そこから人選しましたが、タッキーのようにグリップを利かせられるかは未知数ですね。以前は、どんなに忙しくてもジャニーさんが面接をして、その役割をタッキーが引き継いでいた。ジュリー社長もそこには足を踏み込まなかったのです。

 関ジャニ∞の横山裕、嵐の松本潤の若手を見る力は社内でも高く評価されているようですが、それぞれにタレント活動が忙しくて、すべての後輩に目を光らせることはできない。ましてや履歴書を送ってくる卵たちの目を通すのは不可能。最近は、振付師が面接をしているという話も聞きました

 創業家の二代目として稼業を一手に引き受けているジュリー社長。風当りを跳ね返すには、男性アイドルグループを送り出し続けること意外にはない。

〈取材・文/薮入うらら〉