儲かる、ロスがない商品として優秀

 焼きいも機を設置するスーパーが一気に増えたのには、もっと大きな要因があるという。

「実は焼きいもは非常に利益率が高い商品なんです。例えば、400円のお弁当を作るには、たくさんの材料が必要で、加工のための人件費もかかります。

 しかし、焼きいもの場合、材料はいものみ。作るのも焼きいも機にいもを置けば、あとは機械がやってくれるから、人件費がかからない。さらに、保温すれば数時間おいしさが持続しますからロスも少ないと、売る側にとってはいいことずくめの商品なのです

この焼きいも機は群馬県にある群商というメーカーのもので、店頭販売の普及に大きく貢献
この焼きいも機は群馬県にある群商というメーカーのもので、店頭販売の普及に大きく貢献
【写真】言われてみれば1年中売ってる? スーパー入口の「焼きいも機」

 売れ行きは店舗によって差があるが、1日に売れる本数は多い店で70本程度、少ない店で20本程度だという。ちなみに焼きいも機はどのスーパーでも入り口付近に設置されているが、あれはなぜ?

「非常に安全性が高いといっても、焼きいも機は熱を持つ機械。売り場の中に設置すると、混雑時やお客様が買い物に夢中になったときに、焼きいも機に接触する事故が起こる可能性もあります。それを防ぐために、換気できて周囲にゆとりのスペースを確保しやすい入り口あたりに設置されているのでは、といわれています

 さらに、店内に一歩足を踏み入れた瞬間から、焼きいもの甘い香りに気づいてもらうために入り口に置いているという店もある。入り口付近に漂う焼きいもの匂いは食欲をそそるが、あれはアロマの香りで販売戦略の一環という噂もあるが……。

あのいい匂いは、自然に発生したもの。アロマは使われていないと思います。ただ、香りで購買意欲を高める取り組みは実際に行われていて、カレー売り場でカレーの香料を放つ試みを始めたスーパーもあるんですよ」