現役の高校生が書いたネット記事が話題となっている。
「12月11日に『高校生新聞オンライン』で公開された記事でした。《加工写真があふれかえる今こそ、加工技術の使い方を見直してみませんか?》との呼びかけが主旨。執筆した高校生記者は、自分たちの顔を加工した写真ばかりを残した結果、中学の同級生との思い出の写真では、自分も友だちも元の顔がわからなくなった、元の写真を残しておけばよかったと後悔していると綴っていました」(ネットニュース編集者)
写真加工アプリで元の顔わからず、高校生たちが後悔
このニュースを受けて、Twitterでは「高校生の後悔」や「加工後の顔」といったワードがトレンド入り。
《今の時代ならではの悩みなのかな》
《めっちゃわかる。高校の頃に撮った写真全部耳と鼻ついてる》
といった声が投稿されていた。
「SNSにアップする写真を加工するのは当たり前の時代です。今年5月に化粧品メーカーのマンダムが15~49歳の女性を対象にしたアンケートの結果を発表。それによると、SNSに画像をアップするときに加工するかという質問に対して、“いつもする”、“たまにする”と回答した割合は7割を超えていました。ここ数年では、加工された写真ばかり投稿されるので、AIで加工前の顔を推測するアプリも登場しています」(ITジャーナリスト)
顔の輪郭を変える、目を大きくする、美肌にする、脚を長くするなど修正できる幅は幅広く、元の姿がわからなくなる加工も多い。
では、Z世代と呼ばれる最近の若者の“加工事情”はどうなっているのか。若者文化に詳しい芝浦工業大学教授の原田曜平さんに話を聞いた。
Z世代の“加工事情”
「SNSが普及したことに伴って、さまざまな加工アプリが登場して広まっていきました。最近では“加工警察”といって、加工していることを指摘する人達もいます。
なので、一時期のプリクラのように全く別人になるのではなく、できるだけ人に気付かれない程度というのが加工や修正の肝。今の自分よりかなりいい自分、でも別人ではない、というのが今の主流です」
“自然盛り”という造語も登場しているという。
「自然な感じに盛るという意味です。駅前などにある証明写真機に数人で入って撮る、“証明写真プリ”をする人たちも出てきています。証明写真の機械では大幅な加工ができないけど、美肌にする機能がある。これはまさに今の若い子たちの願望と合致しています」(原田教授、以下同)
さらに、ここ1年で加工全盛の時代に“待った”をかける人たちも出てきている。
「TikTokでは『無加工フィルター』といって、それを使うことで無加工だと証明できる機能も付きました。iPhoneの純正カメラアプリでは加工ができないので、純正アプリだと掲載して投稿する人もいます。
また、日本でも流行りはじめているのが『BeReal』という写真を友だちと共有できるSNSアプリ。毎日通知が来てから2分以内に写真を撮って送る必要があり、しかも加工した写真は使用できません。依然として加工した自分が理想という人が大多数ですが、そういう社会がばかばかしいとそのままの自分を載せる人も確実に増えてきています」
無加工が増えてはいるようだが、加工がなくなるかといえば、また別の問題のよう。
「良く見られたいというのは人間の願望ですから、加工はやめられないでしょう。そういう意味で“自然盛り”が今の若い子たちのニーズを表しているかなと思います」
少しでも見栄えのいい自分の姿を残したいと思うのは仕方がないが、思い出は“ありのまま”であってほしい。