容疑者宅近くの別の住民はこう振り返る。

地味で口下手だった容疑者

「言われてみれば、容疑者はどこか存在感が薄かった。明るくハキハキした奥さんと比べると地味で口下手だったかもしれない。例えばご近所とちょっとした会話をかわす際も、直接は語りかけてこず、奥さん(被害者の実母)を通してコミュニケーションをはかろうとした。再婚とは知らなかったけど」

 被害男性とその実母、孫2人の3世代4人で外出する姿は目撃されているが、容疑者がそこに加わる目撃情報はなかった。

 孫を送り迎えするのもまた、容疑者の妻であることが多かった。容疑者がひとりで孫と出かけるところを見た周辺住民もいなかった。容疑者は仕事に就いていないから時間はあったはずだが……。

「息子さんは昔ヤンチャだったのかなと思わせる雰囲気があり、容疑者よりも貫禄がありました。息子さんが子どもと接する様子をみるかぎり内面は優しそうだったから、何が気に食わなくて殺意が芽生えたのか見当がつきません」(前出・マンションの住民)

 容疑者は普段、茶色っぽい落ち着いた服装を好んだ。夏場はシャツにジーパンといったラフなスタイルだった。犯行時の白1色のスウェット上下は、そうした普段着の延長線なのか、あるいは凶行の決意を示す服装だったのか。容疑者の内面に伺いしれぬ何かがうっ積していたのは間違いない。

 年明け後、容疑者の妻や孫を見かけた周辺住民はいない。自宅のインタホンを鳴らしても応答はなく、アンパンマンの玩具は置き去りにされたままだった。