「やっぱりお金と王室批判でしょう。インタビュー、Netflixのドキュメンタリー、次は本と、媒体を変えながら発信しています。王室を批判して、“自分たちは被害者だ。いじめられた、人種差別された、つらかったのに助けてくれなかったから王室を離脱したんだ”として、同情を買おうとしているんです」(多賀さん)

 しかし、その作戦がうまくいっているとはいえない。

戴冠式に合わせて過激な暴露か

「出版によって、大衆からより多くの同情が得られることを望んでいたと伝えられています。父親や兄との関係も修復したいと考えているようですが、今回の出版は正反対の結果を招きそうですね。出版契約でヘンリー王子は27億円を受け取ったといわれており、高額な報酬が目的で私生活と英王室を切り売りしたとも批判されています。暴露話があまりにも続くので、少し食傷ぎみというのが大半の英国民の正直な感想ではないでしょうか」(名取さん)

 ヘンリー王子は“王室が謝れば許す準備はできている”と話しているが、王室側は相手にしていない。新たな火種が生まれる可能性もある。

「注目されるのは、5月6日に行われるチャールズ国王の戴冠式ですね。王室は形式上、ヘンリー王子に招待状を送るはずです。ただ、その日は長男アーチーくんの誕生日。誕生日パーティーを理由に欠席する可能性があります。逆に、新たな暴露ネタを仕入れるためにイギリスへ帰ってくることも十分にありえますね」(多賀さん)

エリザベス女王の戴冠式は、1953年に行われている(公式インスタグラムより)
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 一方で、戴冠式はヘンリー王子にとっての“攻撃”チャンスだともささやかれている。

「戴冠式は王室全体にとってこれ以上ないほどの一大行事です。世界中から注目されますから、王室への攻撃をするのに、こんなにいいタイミングはないでしょう。“戴冠式に合わせてさらに過激な暴露をするのでは”と恐れている人もいます」(在英ジャーナリスト)

 5月6日、ヘンリー王子はどちらの“家族”と過ごすのだろうか─。


多賀幹子 ジャーナリスト。元・お茶の水女子大学講師。ニューヨークとロンドンに、合わせて10年以上在住し、教育、女性、英王室などをテーマに取材。『孤独は社会問題』(光文社)ほか著書多数