「この度、教職員が意を決し、民事訴訟を起こします。その決意は並々ならぬものを持ってのこと。その根本には、私たちが守ってきた教育を継続したいという思いと、生徒に対する誠実な姿勢で教育にあたりたいという情熱のあらわれです。そんな教職員を、一連の問題に最初から携わってきた私がバックアップをするのは、当然のことです」
名門・平安女学院(以下、平女)の教職員4人が、1月19日、同校の山岡景一郎理事長(92)のパワハラ行為によって精神的苦痛を受けたとして、山岡理事長に400万円の損害賠償などを求める訴訟を京都地裁に起こした。
山岡理事長のパワハラや、不当に給与が低いことなどを訴えるが、ことの発端は2年前に遡る。
高校の卒業式の式辞で、理事長が差別発言
「2021年3月、高校の卒業式で、山岡理事長が人間を5種類に分類する話をしたのです。式辞で“いてもいなくてもいい人”“いたらあまりよくない人”“害になる人”と、人間に優劣をつける差別発言が、生徒や保護者、教職員だけでなく卒業生も巻き込む問題となりました」(地元紙記者)
1875年に創立されたキリスト教系の女子中高である平女。日本で初めてセーラー服を採用した学校としても知られる。そんな歴史ある学校で“お家騒動”が勃発し、教育現場は長きにわたって混乱している。
「あの式辞から、今年3月で2年という時間がたちます。生徒や保護者のためにも、1日でも早く騒動に終止符を打たねばなりません」
冒頭に続き、こう話すのは平女で40年以上にわたり教員を務めてきた今井千和世(ちわよ)校長(69)だ。
今井校長が、山岡理事長のパワハラで教職員が苦しめられてきた実態を『週刊女性』に語った。
「キリスト教の教えでは、どんな人でも、この世に望まれて生まれてきた、かけがえのない存在であると言っているのですが、理事長の式辞では真逆のことを言っている。さらに“なんぼ勉強ができても愛嬌がなければダメ”という発言もありました。当校は女子を対象とした学校なのに、です」(今井校長、以下同)
2021年4月に森喜朗元首相による女性蔑視発言が物議を醸した。同時期、女子高の卒業式で、女性に“勉強ではなく愛嬌が必要”と説いた発言があったのだ。
「山岡理事長の発言に、多くの保護者や卒業生からお叱りの電話やメール、手紙をいただきました。なかには“不登校だった娘が、卒業式だけはと、やっとの思いで出席したのに、世の中にいたら害になるという言葉を聞き、自分がそうなのではないかと感じ、帰ってきて泣いています”という内容もありました」