目次
Page 1
ー インプット奴隷合宿が流行
Page 2
ー インプット奴隷に徹するために ー 目指すは女性版寅さん!?「プチ蒸発」のススメ
Page 3
ー 『プチ蒸発』を楽しむコツ

 

 春の行楽シーズンの到来。外出自粛ムードも落ち着き、いよいよアフターコロナの一歩を踏み出せそうな雰囲気のなか、今年こそ旅行をしたいと意気込む人も多いだろう。

インプット奴隷合宿が流行

 この長引くコロナ禍の間、とある旅行のスタイルが若者を中心にひそかに流行しつつあることをご存じだろうか。観光ではなく、知識の吸収(インプット)を目的とした旅、その名も『インプット奴隷合宿』だ。YouTubeの人気チャンネル『ゆる言語学ラジオ』から生まれたムーブメントで、宿泊予約サイト『STAY JAPAN』でも特集ページが組まれるなど、その人気は徐々に高まっている。

『インプット奴隷合宿』というのは、観光などを一切せずに宿にこもり、インプットをしまくるだけの旅の在り方です。私の場合は、日頃なかなか読めずに“積読”となっている本の消化に徹していますが、インプットのかたちは人それぞれ。見たかった映画や動画を一気に視聴したり、友人と夜通しで議論を交わしたりする人もいます。何かに没頭できる環境に身を移し、集中して知識を詰め込むこと自体を楽しむ旅といえますね

 そう教えてくれたのは『ゆる言語学ラジオ』の水野太貴さん。コロナ禍にひとりで実践していた自身の旅行スタイルについて、番組内で『インプット奴隷合宿』と名づけて紹介したところ、意外なほど大きな反響があったという。

「スマホゲームをしながら本を読んだり、ランニング中にラジオ番組を聴いたりと、私自身、常に何らかの情報を摂取していないと落ち着かないような性分なんです。本来は好きでやっていたはずが、いつのまにか“情報を摂取しなければ”という強迫観念に駆られて、情報と自分の主従が逆転してしまっているような状態ですね。それを“インプットの奴隷”と表現したところ、共感してくれる人が一定数いることがわかり驚きました」(水野さん、以下同)

 最近では、トイレに入るたびに歳時記を数ページ読むことを自分に課すなど、水野さんの“インプットへの隷属”は年々加速する一方だという。

どうせなら“インプットの奴隷”に徹する旅をしようと思ったのが、“インプット奴隷合宿”の始まりでした。ちょうどコロナ禍で格安の宿が多く、こういったインドアなひとり合宿なら自粛期間中でも問題ないかなという思惑もありました。旅先での過ごし方やコツなどを動画内で紹介すると、実際にやってみた感想やオススメの宿などをSNSに上げる人も出てきて、インプット奴隷たちの輪は徐々に広がっています

 合宿と聞くとストイックな印象を受けるものの、旅の内容は自由そのものだ。

「本来の目的はインプットなので、近所にある格安のビジネスホテルなどでも十分。ただ、読書に没頭するためにはお風呂と食事は“外注”する必要があり、インプットで疲れた脳を癒す意味でも、温泉があるといいですね。外湯が豊富にある温泉街なら、格安の素泊まり宿でも良質な入浴を楽しめます。個人的にはクラフトビールが大好きなので、外湯につかった帰りに地ビールのタップルームにも立ち寄れる、長野県の野沢温泉村などはオススメです」