目次
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ー 民主化を進めたフアン・カルロス1世
Page 2
ー 嫁姑間の確執が見えた行事
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ー 王室の起死回生を図る“救いの女神”

 

 5月6日に催されるイギリスのチャールズ国王の戴冠式。歴史的なお祝い事に際し、世界中から集まるロイヤルメンバーにも注目が集まっている。

 チャールズ国王の次男で、今年1月に“暴露本”を出版したヘンリー王子や、孫4人から王子・王女の称号をはく奪したデンマーク女王。日本から参列される秋篠宮ご夫妻も、異例の結婚を強行した眞子さんの両親として知られている。

民主化を進めたフアン・カルロス1世

 各国で王室の“悪い噂”は数多くあるが、

「スペインほどスキャンダルまみれの王室はありません」

 そう断言するのは、世界の王室事情に詳しいジャーナリストの多賀幹子さん。スペイン王室は、日本の皇室との関わりが深いことでも知られている。

「天皇陛下と雅子さまが初めて出会われたのは'86年10月。スペインのエレナ王女が来日した際に、東宮御所で開かれた歓迎パーティーでのことでした。当時皇太子だった陛下は、外交官試験に合格した直後の雅子さまに“合格してよかったですね”と声をかけられたのです。そうしたご縁もあってか、陛下は今もスペイン語を熱心に学ばれていますし、皇太子時代から計6回もスペインを訪問されています」(皇室担当記者)

 両陛下の“恋のキューピッド”ともいうべきエレナ王女。彼女の父で、当時国王だったフアン・カルロス1世は、民主化の英雄として知られる。

 スペイン現代史に詳しい日本大学商学部の細田晴子教授は、彼の功績について次のように解説する。

「スペインでは、1939年から1975年までフランコ総統による独裁政権が続いていました。1969年、後継者として指名され、フランコの死後に即位し、民主化を進めたのがフアン・カルロス1世です。

 1981年に起きたクーデター未遂事件では、国王の毅然とした態度と、国民への呼びかけによって、“独裁者の後継者”というイメージを払拭。民主政治の維持を図りました。彼は、王室外交にも力を入れ、広く国民に親しまれる王室を築き上げたのです」

 国王の役割を確固たるものにしたフアン・カルロス1世だが、あるスキャンダルを機に、国民からの信頼は地に落ちることとなる。