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ー 強風のせいで遭難寸前になった人も
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ー スズメバチがシートの背もたれに……

 4月16日、神奈川県相模原市のキャンプ場で木が根元から倒れてテントを直撃し、中にいた女性が死亡、その夫が大怪我を負った。キャンプのハイシーズンを目前に控えた時期に、突然起こった悲惨な事故。未然に防ぐことは難しかったのだろうか。

「キャンプ場は管理人の方たちにより、基本的には危険な箇所がないか、常に整備されています。よって、今回の事故は非常に珍しいケースだと思いますが、自然の中ではこうしたことがごく稀に起こることがあります。未然に防ぐ方法ですが、正直に言って専門家でもない限り倒木の兆しを見出すことは難しいでしょう。そして、キャンプの安全の知識を最低限身に付けておく必要があります」

強風のせいで遭難寸前になった人も

 と言うのは、公益社団法人日本キャンプ協会で事務局長を務める依田智義さん。今回の倒木事故を受けて、各地のキャンプ場では樹木の点検講習会や伐採等が行われており、同じような悲劇が繰り返されないための取り組みが始まっているが、私たちがキャンプを行う上で事故を防ぐ方法はないものか。

「雨風を避けられる、強い日差しを遮ることができるといった理由で、大きい木の側はテントを張る場所として好まれる傾向があります。その一方で今回のような倒木というリスクもありますし、落雷のときも危険です。大事なのは、“ここにテントを張ったらどんなリスクがあるか”を想像して備えておくことだと思います。木の根元のほか、崖の上、崖の下、風が吹き抜ける場所などは避けるべきでしょう」(依田さん、以下同)

 過去にキャンプで起こった事故にはさまざまな事例があるが、最も恐ろしい事故の一つが水難事故だ。1999 年に起こった神奈川県玄倉川の水難事故を記憶している人もいるだろう。玄倉川の中州でキャンプをしていたグループ 18 人が取り残され、降雨により増水した激流に全員が流されて子どもを含む13人が死亡した。

「河川周辺でのキャンプは気持ちいいものですし人気の場所ではありますが、天候により状況が急変しやすい非常に危険なエリアだと言えます。中州や河川のすぐ側にテントを張るのは避けるべきでしょう。バーベキューなどのアウトドア活動であっても注意が必要です。また水遊びをするときは、ライフジャケットの着用をおすすめします」

 2019年8月には、大分県玖珠(くす)町の大谷渓谷でバーベキューをしていたグループ18人が、川の増水で孤立。台風が九州を通過する中、乳児を含む全員がかろうじて救助されたという事例も。水難事故の原因は悪天候、天気の急変によるものが多い。特に強風、大雨、高波、雷は予想もつかないことが起こるので、天気の変化を見極め、無理な計画、行動は控えるように心がけたい。

 河川で行うキャンプが人気を集める一方で、近年ではソロキャンプブームの影響もあり山や森でのキャンプを楽しむ人が増えている。

「高台にあるキャンプサイトは景観がよく人気を集めていますが、地震やゲリラ豪雨など自然災害により危険な状況になることは考えられます。また、キャンプ場には急な斜面や、地面の凹凸が激しい場所もあり、転倒、滑落の危険もあります。視界が悪くなる夕方以降は特に注意して行動することが必要ですね」

 都内に住む沢田さん(仮名・50代女性・会社員)は、北海道・知床半島のキャンプ場で遭難寸前の体験をしたという。

「9月の上旬、夫と2人でキャンプをしつつ、登山や釣りを楽しむ計画でした。3泊4日の予定でしたが、2泊目の夜、テントで寝ているときに強風で、テントが破壊されてしまい……。私たちも吹き飛ばされてしまいそうだったので、バラバラになったテントを拾い集めつつ、やっとの思いで車に避難しました。いろんなものが飛んでくるし、風が強すぎて全身が思うように動かないし、本当に怖かったです。キャンプ前もキャンプ中も天気予報は細かくチェックするようになりました」

 それ以降は綿密な計画をたて、安全なキャンプを楽しんでいるという。