キャンプの醍醐味とも言える焚火。薪が燃える様子を眺める時間はキャンプの満足度を高めるアクティビティではあるものの、ここにも注意したいポイントがある。
「炭や薪に火をつけるのは技術と手間がかかりますから、基本的な方法を必ず事前に確認しておくべきです。手軽な着火剤を利用するケースも多いと思いますが、ゼリー状着火剤を正しく使用しなかったために、一気に火が強くなり、やけどや事故が起こる場合も。また、風下にいると、焚火の火の粉が飛んで服が燃えてやけどをするケースも見られます。正しい知識をもって焚火を楽しんでほしいですね」(前出・依田さん、以下同)
スズメバチがシートの背もたれに……
焚火が原因で山火事が起こったという事例も。林野庁のデータでは、山火事の最多の原因は焚火であり、3割を占めている。火を扱う以上、危険を伴うことを肝に銘じておきたい。
山や森のキャンプ場には当然ながら野生動物や昆虫も生息しており、人間が被害を受けるケースもある。
「食材や使った鍋や食器などを洗わないまま外に出しておくと、それを野生動物が食べに来ることがあります。野山に暮らす野生動物の生態系を壊す恐れもありますし、遭遇することで人間が被害を受ける可能性もあるので、食材はクーラーボックスなどに仕舞い、調理器具や食器は洗って片付けるというふうに、きちんと管理することが大事です」
危険な動物に対する心構えも必要。特に注意したいのはスズメバチや、マムシやハブなどの毒ヘビだ。
「ハチの場合は、巣に近づいたり、人が手を出したりしなければ、攻撃してくることはありません。見つけたら手で振り払ったり逃げるのではなく、姿勢を低くして、目を閉じて、顔を下向きにして、いなくなるのを待ちます。いなくなったら、近くに巣があるので、静かにその場を離れることです。
ヘビも刺激しない限り襲ってくることはまずないので、いそうな所へ行くときは注意して、音を出しながら歩くとヘビは逃げます。見かけても手を出さないことが重要。もし、ハチに刺されたりヘビに噛まれたら、一刻も早く病院に行って治療を受けましょう」
千葉県に住む会社員の盛山さん(仮名・50代男性・会社員)は、岩手県で釣りを楽しんでいる最中にスズメバチに刺された経験を持つ。
「渓流釣りの途中、着替えようと思って車に戻り運転席に座ったら、背中に木切れで刺されたような痛み起こって。後から気づいたのですが、スズメバチがシートの背もたれに止まってることに気づかず、背中をシートに預けたところに刺されたんです。真夏なのにガタガタ震えるほどの寒気に襲われました。一緒に釣りをしていた友人に頼んで、街まで行き病院で治療を受けて事なきを得ましたが……。これまで感じたことがない痛みで、驚きました」
このゴールデンウィークも各地のキャンプ場で混雑が見込まれる。自然の中で過ごす以上、自然災害をはじめとする危険は起こり得ることだ。それを十分に理解し、対策を考えておくことが楽しいキャンプに繋がる最大のコツといえそうだ。